第15号 平成27年3月15日発行
一般社団法人山梨県視覚障がい者福祉協会会報
巻頭言 | |
---|---|
「障害を理由とする差別の解消に向けた地域フォーラム」開催される | ・・・・・2 |
今月の動き | |
協働推進フォーラムを終えて | ・・・・・3 |
第7回創立60周年記念事業実行委員会報告 | ・・・・・3 |
女性部より「研修会を終えて」 | ・・・・・4 |
第49回関東ブロック協議会さいたま市大会報告 | ・・・・・5 |
全体報告・生活分科会報告 | |
バリアフリー分科会報告・職業分科会報告 | |
青年分科会報告・女性分科会報告 | |
今後の予定 | |
会計監査及び第4回役員会開催について(再案内) | ・・・・・13 |
平成27年度定期総会及び第1回役員会開催について | ・・・・・14 |
各部より | |
グランドソフトボールクラブ | ・・・・・15 |
「山視協だより」は赤い羽根共同募金の配分金により作成されています。
会長 長澤 誠
去る、2月25日(水)午後1時より、県立図書館多目的ホールにおいて、内閣府の主催により標記フォーラムが開催されました。このフォーラムの目的は、「平成28年4月に施行される『障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律(障害者差別解消法)』について、地方公共団体と連携し、学識経験者、障害当事者、事業者等によるパネルディスカッション等を通じて、地域の障害のある人や関係者の意見を広く聴取し、障害者差別解消法の円滑な施行を目指すとともに、各地域における取組の促進と気運の醸成を図ることを目的とする」とされています。
会議では先ず、主催者と開催地のそれぞれの代表から挨拶があり、続いて前半で基調講演、後半でパネルディスカッションが行われました。基調講演では、講師に筑波大学教授 柘植雅義さんによる「障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律と基本方針について」の概要説明がありました。その後、休憩を挟んでパネルディスカッションが行われ、コーディネーターとして、筑波大学教授 柘植雅義さん、パネリストとしては、障害当事者を代表して本会理事の埜村和美さん 社会福祉法人三富福祉会会長、山梨県知的障害者支援協会会長の山西孝さんの二人から現在までの活動状況や、日常生活および社会生活全般にわたる課題等について話がありました。二人の話を受けて、ご自身も脳性麻痺で車椅子生活者の、内閣府障害者制度改革担当室 政策企画調査官の尾上浩二さんから感想や意見等が話されました。その後、短時間ではありましたがフロアからの発言もありました。
このディスカッションの中で埜村さんが「だめと言われると余計にファイトが湧いてくる。」と言われたことや、施設経営者である山西さんが、「入所施設はなくてもいいもので、地域で生活することが大切である。」と言われたことは多くの参加者に感動を与えました。私もこのほかに尾上さんが「障害者は社会的障壁に取り囲まれているジャングルを必死で前に進んでいる。進んで行けばだんだん道が出来てくる。」と言われたことに大変感動いたしました。
山梨県では全国に先駆けて平成5年(1993年)に「障害者幸住条例」が制定されました。現在この条例の見直し作業が進み、大詰めを迎えております。やがて、障害のある人もない人も等しく生活出来る「共生社会」の到来となることでしょう。大いに期待いたしましょう。
職業部長 井口靖也
職業部の皆さんが汗を流し地域の皆さんに喜んでいただける標記行事が去る2月14日(土)ボランティアNPOセンター2階多目的スペースにおいて行われ、マッサージスタッフ6名サポートスタッフ4名の体制で30名の患者さんを治療することができました。
例年とはだいぶ様子が異なり、今年は焼きそばや水餃子、うどんなどの出店はなくさみしい静かな情景でしたが有資格者による無料体験マッサージのコーナーは午後3時ごろに無事終了することができました。
今年初めての試みとしていつもお世話になっている赤い羽根共同募金の募金箱を受付に置きましたところ5,943円の浄財が集まりました。ありがたいことだと思います。
マッサージスタッフ、サポートスタッフの皆さんありがとうございました。
実行副委員長 堀口俊二
去る2月15日(日)午前9時30分より県立図書館交流ルーム102にて標記の会議を拡大実行委員会の形で行いました。大会前最後の実行委員会ということで、記念誌や記念品の準備状況、当日の流れや役割分担、送迎バスの運行計画等細部にわたり確認の話し合いをしました。本誌がお手元に届くのは大会終了後10日近く立った頃と思われますが、皆様方から良い大会だったという感想が聞かれることをひたすら祈りながらこの原稿を書いている私です。
返田 順子
女性部では、2月22日、ライトハウス研修室にて、『お出かけの時の装いと心がけていること』をテーマに、今年度最後の研修会を行いました。
付き添いを含め、39名の参加者のもと、10時から10時半まで、藤野部長による進行で、ひとりひとりから、失敗したこと、日頃心がけていることなど、さまざまな体験談が話されました。
いちばん多かったのが、左右、色違いのソックスを履いたまま出かけてしまったことや、スニーカーなど、微妙に形や模様の違うもの、片方ずつ履いてしまったことなど。また、大切にしていた洋服に、汚れなどをつけてしまい、そのことを知らずに、それを着て出かけてしまい、とてもショックだった。などの失敗談が多く聞かれた。そんなときは、健常者が見ていて気づいたなら、だれでも気軽に、すぐに教えてほしいという声がたくさん聞かれました。
また、心がけていることとしては、ハンガーに組合わせを作って、洋服を掛けておく。自分はどんな色が似合うのか、家族や友達に聞いておく。ペンダントやブローチ、帽子など、ワンポイントのアクセントを楽しんでいる。服を買うときは、娘やお店の人に見てもらう。などでした。
それぞれのお話を参考にしながら、軽やかな春に向けて、より楽しいおしゃれをして、元気に外に出ましょう、ということが確認され、心弾む研修会となりました。
事務局長 堀口俊二
標記の大会が2月27日(金)〜28日(土)にかけてさいたま市のラフレさいたまで開催され、本会からは付き添いを含め14名が参加しました。バスでの移動でしたが、天候に恵まれ、快適な2日間でした。第1日目には、式典、日盲連情勢報告、講演、分科会(生活、バリアフリー、職業、青年、女性)、団体長会議、座長・副座長会議、懇親会が、第2日目には全体会が実施されました。
まず、日盲連情報報告では、竹下会長より福祉制度作りの流れ、職業問題、バリアフリーの動きの3点について話がありました。特に福祉制度においては、現在障がい者差別解消法や改正障がい者雇用促進法のガイドライン作りが進められており、今後これらに視覚障がい者団体の意向をどこまで盛り込めるかが課題とのことでした。また、職業問題の中のあはきに関しては、無免許者と区別するための免許保有証明書の発行準備を東洋療法研修試験財団で進めており、夏ごろには申請手続きが開始されるとのことでした。無免許者との異別化をはかる運動の一環なので、有資格者にあってはできるだけ全員申請してほしいとの話でした。
講演は、アジア視覚障害者教育協会代表青木陽子氏による「障がい者が輝く社会を構築するために『天下を動かすには自ら動け』」と題したエネルギッシュでユニークな内容のものでした。
第2日目の全体会では、例年の通り各分科会報告の後大会宣言、大会決議が一部修正の上採択され、大会を閉じました。来年は、2月28日(日)〜29日(月)群馬県伊香保温泉で開催予定とのことです。以下に大会決議を要約して記します。
最後になりましたが、私たちの移動等アシストして下さったガイドヘルパーやボランティアの方々にこの場を借りてお礼申し上げます。有難うございました。なお、各分科会につきましては、以下の報告をご覧下さい。
副会長 堀口俊二
竹下会長を助言者に迎え、20題の提出議題が協議されました。入院時のホームヘルパーやガイドヘルパー利用に関する要望、健常者への視覚障がい理解と啓発の問題、高速道路料金やJR特急券の割引実現への要望、障がい者基礎年金増額の要望、災害等緊急時の避難や安全対策に関する要望、27年度からスタートする計画相談における同行援護に関する内容の適正化と、相談員の専門性向上に関する要望、歩行訓練士の身分の保障と増員に関する要望、ガイドヘルパーの資質の向上と事業の充実に関する要望、各種商品のユニバーサルデザイン化に関する要望、日常生活用具の地域格差是正に関する要望、65歳以上の人が介護サービスと障がい福祉サービスを使い分けられるよう、行政職員やケアマネージャー、計画相談員の資質向上に関する要望、障がい者グループホーム設置基準緩和に関する要望、重度心身障害者医療費窓口無料の制度化に関する要望などがその主なものです。このうち、入院時の移動等の問題については、竹下会長より入院時のガイドヘルパーの利用は認められているので、各団体で行政機関と折衝してほしいとのアドバイスがありました。また、歩行訓練士の身分保障と増員の問題はどこでも切実であり、本県でも力を入れて取り組むべき課題であると感じました。年金問題も切実な課題ですが、竹下会長より現時天での増額は難しいとの見解が示され、高速道路料金やJR特急料金の減額が一層強く望まれるところです。全体的にみれば、昨年度は同行援護関係の議題が半数近くあったのに対し、今年度は上記の通り多岐にわたっているのが特徴です。障がい者差別解消法制定や障がい者権利条約批准など法的環境は整備されつつありますが、私たちの抱えている課題解決にはまだまだ時間がかかりそうです
副会長 矢崎繁
バリアフリーの分科会では、各団体より20項目の提案議題があり、日盲連の鈴木副会長を助言者に迎え、参加者65名による活発な意見交換や質問、現状報告がされ、すべて承認されました。次に主なものを抜粋します。
副会長 広瀬清敏
職業分科会には17の議題が提出されました。要約して記載してゆきます。
山梨県:就労支援センター設立に向け法制度を含めた条件整備を。群馬県:公共の支援センターの設置を全国都道府県に建設を。茨城県:中途失明者の社会復帰をはじめ就労促進や職場職域の拡大を図る雇用就労センター設置を。 千葉県:中途視覚障害者や他の障害を併せ持つ視覚障害者の就労に結びつく支援策を要望する。東京都:中途視覚障害者の職場復帰促進のため事業者の財政的支援を。千葉県:国としてヘルスキーパーや機能訓練指導員への雇用を促進する施策を推進するとともに病院におけるマッサージの診療報酬点数の大幅な引き上げを。神奈川県:ヘルスキーパーを雇用するように各団体でハローワークに申し入れを。川崎市:あはき法19条の堅持を。川崎市:無資格違法類似行為の取り締まりの徹底を図るため免許証を携帯方式に改めるよう要望する。相模原市:あはきの無免許対策を進めるとともに健康保険適用を拡大し一部負担のみであはきの施術が受けられる制度の実現を要望する 茨城県:無資格類似行為者の取締りの強化を要望する。栃木県:あはき国家試験不合格者に対してフォローアップ研修制度の確立を要望する。栃木県:医療マッサージをマッサージ項目として料金点数化されるように。東京都:安定した経営をするために健保取り扱いを啓発し問題点を検討し推進することを要望する。さいたま市:無免許者との差別化を図り国民に有資格者の可視化を図る目的で携帯用本人確認証を発行されることについて団体に所属していない施術者と取り扱いについて情報を。
全国大会には17の議題の中から次の2題が選ばれました。
神奈川県:開業医や訪問マッサージを中心とした施術所に勤務する視覚障害者の賃金や労働条件が労基法違反をしているところがあるように見受けられる。労基法違反一掃のために日盲連として労働相談ホットラインを設置してほしい。また各団体で労働局に申し入れを行う。
山梨県:自営業者への職場介助者(ヒューマンアシスタント)を制度的に認めるよう要望する。
以上17の議題はすべて承認されました。審議を進める中で助言者の筑波技術大学の藤井亮輔准教授の適切なアドバイスでスムーズに進行し予定の時間内で終了することができました。
会長 長澤 誠
当分科会では、2004年アテネパラリンピック柔道81kg級で銀メダリストとなった、加藤裕司先生を講師に「障害者パラリンピックに参加して学んだこと」と題して講演会が行われました。
先生は、先天性緑内障のため弱視として生まれましたが、小・中学校は地元の学校で学び、中学へ入学した時部活で、男子生徒はスポーツクラブに入るようにと言われたため、球技では視力が必要なので、柔道部に入ったそうです。その時から現在まで柔道を続けているとのことでした。この間36歳の現在まで、国内外の大会に於いて輝かしい成績を残してこられました。その成績の一部をご紹介いたしましょう。
「全日本視覚障害者柔道大会」=優勝多数(86kg級、90kg級、81kg級) 「パラリンピック」=2004年 アテネ 準優勝(81kg級) 2012年 ロンドン大会出場(81kg級)「世界選手権」=1998年 マドリード 5位(90kg級)2007年 サンパウロ 優勝(81kg級)「アジアパラリン選手権」=2010年 広州 優勝(81kg級)等であります。
先生は、町立中学卒業後視力が低下して全盲となりました。現在、身長181cm 体重95kg 段位は4段です。現在、埼玉県立特別支援学校塙保己一学園(埼玉県立盲学校)高等部専攻科で教鞭を執っておりますが、パラリンピックに目標をおいてトレーニングに励んでいるそうです。
この講演会は、事前に募った質問に答えると同時に、席上での質問にも答えていただきました。中でも印象に残ったことは、「ある大会では91kg級に挑戦した後、次の大会には81kg級にチャレンジしたり、またその逆のこともあったりすることの苦労話があったら聞きたい。」に対し、「期限があるのでつらくはない。」とのことでした。また、護身術に対する質問には、「体を鍛えているから危ないことをしてもという考えは鍛えている人の発想ではない。一番の護身術は、危ないところには近づかない。トラブルは事前に防ぎ、巻き込まれそうになったら周りの人を呼ぶことが大事。」と話されました。
70歳代の私が青年分科会に参加して、エネルギッシュなヤングパワーをいただき私にとりましても大変有益な時間でありました。
部長 藤野ます子
去る2月27日(金)から28日(土)に、関東ブロック協議会さいたま市大会が行われました。私は1日目の、第5分科会(女性)に参加しました。テーマは、「盲女性として怖かったこと危なかったこと」でした。
助言者として、埼玉県警生活安全企画部から、5名の方を迎え、最初に各団体の事例発表が行われました。
ここにその主なものを記します。
発表後、防犯ブザーの使い方を教えていただきました。ブザーの音が意外に大きく驚きました。そして警察手帳を触らせてもらいましたが、小さいのに重みがあり「警察」のイメージが膨らみました。
最後に助言者からのアドバイスをいただきました。
いつの世も犯罪は減ることはありません。そしてその手口も巧妙になっています。私たち視覚障がい者が、犯罪から身を守る良い方法があるのだろうかと、思いながら会場を後にしました。
事務局長 堀口俊二
先月号でもお知らせしました通り、平成26年度会計監査と第4回役員会を次の日程で行います。関係の皆様方には、必ず出席下さいますようよろしくお願い致します。
事務局長 堀口俊二
いよいよ、新年度事業のご案内になりますが、以下の通り標記の会議を開催致します。特に、総会につきましては後日資料をお送り致しますが、できるだけ大勢の皆様方のご意見を会運営に反映させていきたいと思いますので、是非出席されますようよろしくお願い致します。やむを得ず欠席となる場合にも、資料をご覧の上、同封の委任状を必ずご返送下さい。また、役員会につきましても該当の皆様方には是非出席していただきますようよろしくお願い致します。
部長 大野静香
今年も1月に初練習を行い、2月中旬より毎週練習を開始しました。昨年の大雪を考えると、天候にこそ恵まれてはいますが、まだ風は冷たく、ボールが痛いです。ランニングやダッシュで身体をほぐし、打ったり投げたりといった感覚を取り戻すように、一日身体を動かしています。今後はリーグ戦決勝大会や中日本大会など遠征試合をこなし、5月に行われる関東地区大会をしっかりと戦って、今年こそ全国大会出場を勝ち取りたいと思います。
訃報 2月10日、前山梨ライトハウス理事長三井永政様が逝去されました。謹んでご冥福をお祈り致します。
先日、東京に行った帰りに新宿で立ち寄った居酒屋は、テーブルに置いてあるタブレットのタッチパネルを操作しながら注文するシステムの店でした。幸い、弱視のかみさんと一緒だったので、少し苦労しながらも希望の品を注文することができましたが、何ともいえないやるせなさを覚えたのも事実です。考えてみると、街中の自動販売機や立ち食いそば屋さんの券売機など、日常のちょっとした場面で同じような思いをすることはしばしばです。最近よく言われる合理的配慮が、こんな身近な所にも必要なのかなどと感じながらの、ちょっぴりほろ苦い酒となりました。何やら愚痴っぽくなってしまいましたが、山視福協もいよいよ新たな年度を迎えます。皆様方とともに、この合理的配慮という言葉をキーワードに、一層暮らしやすい環境作りを目指したいものです。
事務局長 堀口俊二
山視協だより 平成27年3月号
発行人 一般社団法人山梨県視覚障がい者福祉協会
〒400−0005 山梨県甲府市北新1−2−12
山梨県福祉プラザ1階
発行責任者 会長 長澤 誠
編集責任者 事務局長 堀口 俊二
電話 055−252−0100
FAX 055−251−3344
http://yamashikyo.sakura.ne.jp