第47号 平成29年11月15日発行
一般社団法人山梨県視覚障がい者福祉協会会報
巻頭言 | |
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補装具・日常生活用具について | ・・・・・3 |
行事報告 | |
第63回全国盲女性研修大会報告 | ・・・・・5 |
補装具・日常生活用具に関する研修会報告 | ・・・・・5 |
県下視覚障害者文化祭を終えて | ・・・・・8 |
今後の予定 | |
第3回役員会のお知らせ | ・・・・・9 |
職業部講演会のお知らせ | ・・・・・9 |
支部だより | |
甲州支部 | ・・・・・10 |
トピックス | |
おめでとうございます | ・・・・・11 |
事務局より | |
シリーズ講演会「親なきあとの自立」の開催について | ・・・・・11 |
編修後記 | ・・・・・12 |
JR西日本富木駅における視覚障害者の転落死亡事故に関する緊急声明(日本盲人会連盟)ページ内リンクです。
JR西日本富木駅における視覚障害者の転落死亡事故に関する緊急声明(日本盲人会連盟)
日本年金機構からの情報をご案内いたします。
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「山視協だより」は赤い羽根共同募金の配分金により作成されています。
会長 堀口俊二
立冬を過ぎ、木枯らしに枯れ葉舞う季節となりました。街には気の早いクリスマスソングが流れ、何やら落ち着かない気分にさせられるこのごろですが、皆さんお変わりありませんか。
さて、今月は補装具・日常生活用具について触れてみることとします。先月行われた日盲連主催の研修会内容については、この後の行事報告に譲りますが、県内11市町村の担当職員の方に出席いただけたことは大変大きな成果であり、地域格差解消に向けた一つのきっかけになればと期待しています。そこで、ここでは実際にどんな品目があるのか、厚労省から示されている一覧を元に紹介したいと思います。
まず補装具には、盲人安全杖、義眼、眼鏡(矯正眼鏡・遮光眼鏡・弱視眼鏡、コンタクトレンズ)の3品目があります。なお、これら申請に当たっては、身体障害者手帳の提示により、医師の意見書を省略することができるとされていることを申し添えます。
次に、日常生活用具ですが、以下のように大きく四つに分類されています。品目の後に障がい等級の記載のないものは1〜2級が対象です。また、同居家族の有無など多くの自治体で給付要件を謳っている品目には要件付きと記載します。
皆さんいかがですか。改めて並べてみると、日常生活用具にはたくさんの品目があり、障がい等級3級以下の弱視者を対象とするものもかなりあることがお分かりいただけたのではないでしょうか。この一覧を各自治体との今後の交渉にお役立ていただければ幸いです。会一丸となって地域格差解消を目指しましょう。
女性部長 岡部恵子
標記の大会が9月5日(火)〜7日(木)、群馬県高崎市のホテルメトロポリタン高崎を会場に、全国から会員及び関係者約500名が集い開催されました。山梨からは、会員8名、ヘルパー1名の計9名が参加しました。
今年度のスローガンは、「無くそう!障害者の地域格差を」、「高めよう!自らの知性と教養を」、「急ごう!安全な駅と安心な街づくりを」、「実現しよう!女性が輝く社会を」の4点です。
まず、2日目の午前中に行われた全国代表者会議には岡部が出席しました。主催者挨拶の後議事に入り、提出された8議題について活発に審議され、すべての議題が承認されました。午後からは研修会が行われ、第1部の講演会では、群馬県交響楽団の皆さんによる素晴らしい演奏を聴き、心地良いひと時を過ごすことができました。途中から合流参加した観光組の人たちも素晴らしい演奏を聴くことができ良かったといっていました。
第2部の「家事の工夫とコツ」では、野菜を切るときにキッチンバサミを使ったり、大きな瓶から小さな瓶に移すときにジョーゴを使ったりなど、色々な便利グッズを上手に活用している体験が紹介されました。また、それ以外に地域の人との交流を大切にしているという話もありました。
懇親会では、食事をしながらコーラスグループソレイユさんのコーラス、ウマバシチンドン倶楽部の皆さんによるチンドンを楽しみました。チンドンは、参加者とチンドン倶楽部の息があったと言えるのか、双方が乗りに乗り、チンドン倶楽部の人たちも楽しそうにみえました。
3日目は、式典に引き続き代表者会議の報告、宣言案、決議案が採択され解散となりました。参加された皆様ご協力ありがとうございました。
事務局長 矢崎繁
10月12日(木)午後1時30分より福祉プラザ4階会議室を会場に日本盲人会連合主催による補装具・日常生活用具に関する研修会が開かれました。
県内市町村11、長野県2、静岡県1、その他団体2、本会の会員17名の参加があり、タイムズコーポレーション、シナノケンシ、ケージーエス、システムイオ、テイクス様の協力により研修会前の30分と後の30分が当てられ品目について直接触れるなど使い方の説明を受けました。
始めに主催者として、日盲連組織部長・藤井貢氏より挨拶があり、続いて本会の堀口会長による挨拶がありました。
その後厚生労働省自立支援振興室秋山仁氏による「補装具費の適切な理解と運用について」と題しての研修が行われました。
補装具・日常生活用具の歴史的背景として国際障害者年を契機に地域で暮らす社会「共生」の流れを受けて行われてきた。費用負担、地域格差、障害種別での格差があったことを解消するために自立支援法となり、持続性のある安定した制度維持の必要性、用具の適正な価格で提供できる仕組みづくりの必要性が歴史的流れになってきた。
補装具とは、日常生活において障害者等の身体機能を補完し、又は代替し、かつその身体への適合を図るように製作されたものであること。補装具費支給制度は、各市町村が行う自治事務ではあるが、その適切な運用に資するため、「補装具費支給事務取扱指針」があり、その概要の説明がありました。制度の具体的な取扱いとして視覚障害者を対象とした補装具、支給決定の流れなどの説明がありました。
続いて、出展業者より自己紹介や製品紹介があり、休憩に入りました。
その後、日盲連組織部長・藤井貢氏による「日常生活用具の実態について」の説明がありました。
東日本大震災の避難所において日盲連の担当者派遣により視覚障害者で日常生活用具を知らない方が多くいた。全国どこでも同様な問題があるのではないかと、日常生活用具について知ってもらおうと、自治体にはその啓発をしてもらうことを目的に始めた。日々日常生活用具の問い合わせ、苦情等あるので理解をしていただく。給付を受ける視覚障害者は自分の生活に役立つ、生活を改善したいことを自治体の職員と話し合い適切なものを給付してもらうことが必要。当事者も自治体担当者も日常生活用具について理解がされていないのではないか、現物を知らないまま制度が動いているのではないかという懸念があります。
自治体の指定品目は旧態のまま、新しい物新しい考えに基づく物だとかが指定されないまま推移している。指定品目が非常に少ないことがあるのではないか、耐用年数は想定されているままで、現在の実態に合っていない等の問題があるが、市町村事業であることから近隣の市町村と話し合うことで決められていて当事者との話ができていないことがある。(日盲連窓口に寄せられたものより)
日常生活用具の「定義」は障害者が安心かつ容易に使用できるもの、自立を支援し社会参加を促進するものであること、用具の開発について障害の特性を理解しそれに沿った製品が造られることとあり、デジタル機器が多くなってきていることから、指定にはそれを配慮判断していただき、世の中の変化を認識していただき視覚障害者に適切なものを選択していただきたい。
窓口でカタログだけで決めるのではなく現物に触ったりして理解をし、給付一覧を参考に当事者と窓口の担当者が議論し品目を指定していただく必要があり、担当課で毎年品目を検証していただき効果的に活用できることが望ましい。現在では自治体が独自に指定することになっており、様々な特性がでてきているので、幅広い品目指定を行い実態に合わせる必要がある。また、給付品目指定一覧の様々な課題について説明がありました。
研修会が今後少しでも格差の解消に活用できればと思います。
体育文化部部長 埜村和美
本年度の文化祭は、7月に開催していた点字競技会とパソコン競技会を新しく組み込み、それにより行事が秋に集中したため、あわただしく過ぎたように思いました。会員の皆様には、ご協力をありがとうございました。その上文化祭当日は台風の接近で大雨の中を参加していただき、重ねて感謝申し上げます。新しいスケジュールのため時間配分が少し不安でしたが、昼休みの時間調整で、無事に終了することができました。
ふたつの競技会もスムーズに運び、朗読と語りもエッセイや民話など、個性あふれる作品が発表されました。音訳部の川口恵さんの朗読の『賢明な女性たち』はユーモア科学小説で、ストーリーの展開が軽妙で知らぬ間に引き込まれてしまいました。午後からの文芸選評には会員から、俳句・川柳・短歌が投稿され、季節や家族とのふれあいなどが詠まれ、力作が揃いました。
プログラム最後の文化講演会は講師に江宮隆之氏をお迎えし、演題『東京のインフラを整備した甲州財閥たち』を講演していただきました。
東武鉄道を開設した根津嘉一郎をはじめ、東京地下鉄の創始者である早川徳次のこと、当時八王子までだった甲武鉄道を、塩山を通り甲府まで延長し、現在の中央線とした雨宮敬次郎の、皇室に纏わるこぼれ話など、江宮先生のいつもながらの 滑舌の良い興味深いお話は、時間のたつのを忘れるほどでした。
ボランティア室では昨年に引き続き、体育文化部次長の山本友治さん製作による、奈良東大寺の大仏殿と京都清水寺のジオラマが展示され、その精密さに触れながら皆さん大変喜んでいました。
青い鳥奉仕団の皆様、わの会の皆様ガイドをしてくださったヘルパーの皆様、ありがとうございました。
事務局長 矢崎繁
平成29年度第3回役員会を12月17日(日)に次の日程で行ないます。年末の何かとお忙しい折かと思いますが、関係者には必ずご出席くださいますようよろしくお願いします。やむを得ず出席できない方は予め事務局までご一報ください。
職業部長 酒井弘充
職業部では12月17日(日)午後1時半から3時半まで、山梨ライトハウス2階研修室にて、職業部講演会を行います。
今回は弁護士の大胡田誠先生より、「視覚障害者の就労を取り巻く法律問題」というテーマでご講演をいただきます。
大胡田先生は、著書「全盲の僕が弁護士になった理由」でもご存じの方も多いと思いますが、日本で3番目の全盲の弁護士となった方です。また、この著書が2014年にドラマ化され大きな反響をよびました。現在、大胡田先生は日盲連会長の竹下義樹先生が代表を務める弁護士法人つくし総合法律事務所に所属され活躍されています。
今回の講演では、あはき法第19条訴訟の概要や争点にも触れつつ、より幅を広げて視覚障害者の就労を取り巻く法律問題についてお話をしていただきます。みなさんどうぞご参加くださいますようお願いいたします。
支部長 矢崎繁
甲州支部の平成29年度の主な行事は次の通りです。
4月に定期総会、懇親会を行い会員さんの意見、希望により年間の行事の概要が決まりました。
6月に「歩け歩けの会」と題して歩く機会を少しでも多くと昇仙峡方面に出掛け、自然と渓谷美の中を散策してきました。
9月には、「体験学習」として北杜市方面、南八ヶ岳 花の森公園に出かけピザ作り体験を行い、自分たちで作ったピザが昼食となりました。午後は国立天文台野辺山の見学をしました。説明の中で天文台の歴史、暦が旧暦から新暦に移行した経緯、天文学の必要性や6台のアンテナで同時に観測することで、解像度の高い天体画像が取ることにより大きな成果が期待できる。また、パラボラアンテナの形状を使い、2基のアンテナが向かいあっており、指定のところに耳を置きますと囁くほどの声でもしっかり遠くの相手に聞こえることも体験しました。
また、サントリー白州工場では天然水の製造工程見学と試飲を体験しました。南アルプスに降った雨が20年を経て地下水となりそれを利用しているので自然保護に力を入れていることなど説明を受けました。
11月13日には、今まで宿泊交流会として出掛けていましたものを、今年は日帰りの交流会として静岡県三島市方面に出掛けます。主な行程は三島スカイウォーク、伊豆フルーツパーク、三島大社、みかん狩りに出かける予定です。
11月5日(日) あん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師等法70周年記念の集いにおいて本会の監事、中村秀文様があん摩マッサージ指圧、はり、きゅう業務功労者 厚生労働大臣表彰を受賞されました。
つきましては、お祝いの会を次の通り開催する予定です。詳しくは後ほどご連絡致します。
日時 12月17日(日)午後4時30分〜
会場 甲府ニュー芙蓉(甲府市塩部)
なお、中村様は平成29年度障害者自立更生等厚生労働大臣表彰で援護功労者として12月5日に受賞が内定しています。重ねておめでとうございます。
山梨県障害者福祉協会では標記講演会を開催します。参加は無料です
秋の深まりとともに、日に日に寒くなってきましたが皆様いかがお過ごしでしょうか。県内では10月14、15の両日に雨となり、続いてその後の週末が2週続けて台風による荒天でイベントなど影響がありましたが今月に入り良いお天気となり各地では紅葉の見ごろというニュースも聞かれるようになりました。
10月末よりシベリアなどの北国から渡って来るジョウビタキという野鳥の声が庭木などで聞かれるようになりました。この野鳥の到来がありますといよいよ冬が近いと感じられます。皆様も冬に備え、風邪など引きませんように留意してお過ごしください。
(事務局長 矢崎繁)
山視協だより 平成29年11月号
発行人 一般社団法人山梨県視覚障がい者福祉協会
〒400−0005 山梨県甲府市北新1−2−12
山梨県福祉プラザ1階
発行責任者 会長 堀口 俊二
編集責任者 事務局長 矢崎 繁
電話 055−252−0100
FAX 055−251−3344
http://yamashikyo.sakura.ne.jp
社会福祉法人 日本盲人会連合 会長 竹下 義樹
去る10月1日夜、JR西日本阪和線富木駅において、視覚障害の男性が駅ホームから転落し、電車に轢かれ、死亡するという痛ましい事故が発生した。
ご遺族には心からお悔やみを申し上げる。
事故が発生した富木駅はホームドアが設置されておらず、内方線付き点状ブロックも敷設されていないと聞き及んでいる。
仮に、ここに転落防止のためのホームドアが設置されていたならば、このような悲しい事故は発生しなかったに違いない。このようなことを思えば悔やんでも悔やみ切れない。
早急に転落原因を解明し、抜本的な安全対策が講じられることを心から望む。そして、これら対策が遅れれば遅れるほど、このようなゆゆしき事態が再び起こりうることを肝に銘じられたい。
統計によれば、駅ホームからの転落事故は年間約3,700件近くにのぼっている。平均して1日10件余りの転落事故が発生していることになる。もはや、駅ホームの安全対策は視覚障害者のみの課題ではなく、国民全体の課題である。
鉄道駅ホームからの転落事故は、国、自治体、鉄道事業者、そして駅利用者が努力すれば、必ず無くすことができる事故である。抜本的な安全対策を可及的速やかに講じ、二度とこのような悲惨な事故が生じないよう強く望むものである。
以上声明する。