第42号 平成29年6月15日発行
一般社団法人山梨県視覚障がい者福祉協会会報
巻頭言 | |
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第70回全国盲人福祉大会レポート | ・・・・・2 |
行事報告 | |
スポーツ協議会代表者会議報告 | ・・・・・4 |
あはき協議会代議員会報告 | ・・・・・5 |
分科会 生活報告 | ・・・・・6 |
分科会 職業報告 | ・・・・・7 |
分科会 バリアフリー報告 | ・・・・・8 |
観光レポート | ・・・・・9 |
女性部研修会と総会報告 | ・・・・・11 |
今後の予定 | |
全国盲女性研修大会(群馬大会)のご案内 | ・・・・・11 |
クラブより | |
ハーネス友の会 | ・・・・・12 |
トピックス | |
駅ホームでの声かけ・見守り促進キャンペーン | ・・・・・12 |
事務局よりお知らせ | |
あはき法19条訴訟第4回口頭弁論について | ・・・・・12 |
県立盲学校オープンキャンパスについて | ・・・・・13 |
第20回障害者文化展作品募集 | ・・・・・13 |
第43回全国盲人文芸大会の作品募集 | ・・・・・13 |
あはき等法19条を厳守することを求める決議(日本盲人会連盟)ページ内リンクです。
あはき等法19条を厳守することを求める決議(日本盲人会連盟)
日盲連より歩行訓練に関する調査が完了し、このたび、報告書にまとめることができました。日本盲人会連合ホームページへ。
歩行訓練に関する調査報告書
近鉄河内国分駅における視覚障害者の転落死亡事故に関する緊急声明 社会福祉法人 日本盲人会連合ホームページへ。
近鉄河内国分駅における視覚障害者の転落死亡事故に関する緊急声明
「山視協だより」は赤い羽根共同募金の配分金により作成されています。
会長 堀口俊二
夏至も間近、今年もまた蒸し暑い梅雨がやってまいりましたが、そこはプラス思考、雨に濡れたアジサイや幻想的な蛍観賞、夜の田んぼの蛙の合唱など、この時期ならではの風情を堪能しながらうっとうしい季節を乗り切るというのはいかがでしょうか。
さて、標題の大会が去る5月26日〜28日までの3日間、徳島県のJRホテルクレメント徳島及びアスティ徳島で開催され、本県からは付き添いを含め20名が参加しました。以下に、私が出席した会議を中心に報告します。
1日目の定時評議員会では、平成28年度事業報告及び決算報告承認後、新定款に基づく理事・監事の選任に移り、理事会推薦の候補者全員が提案通り選任されました。なお、この後行われた新理事会で役員選任が行われ、会長に竹下義樹氏、副会長に伊藤和男氏、及川清隆氏、小川幹雄氏、常務理事に後藤英信氏、橋井正喜氏がそれぞれ就任しました。
2日目の研修会は、「障害福祉サービスと介護保険サービスの適用に関わる諸問題について」と題する厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部障害福祉課課長補佐大津昭夫氏、厚生労働省老健局総務課課長補佐唐戸直樹氏を講師に招いての講演でした。質疑では、65歳を過ぎても介護保険サービスではなく障害福祉サービスを優先してほしい、介護保険サービス優先では家事援助などの質の低下が懸念されるなどの意見が多く出されました。また、入院時のコミュニケーション支援者による支援(代筆・代読等)が医療機関に受け入れられない実態があるとの意見に対しては、厚労省で昨年8月に医療機関向けに通知した内容を再度通知したいとの回答がありました。
3日目の大会には、全国から視覚障害者及び関係者約1,500名が集いました。第一部の式典では、主催者挨拶の後、竹下会長より日盲連顕彰等受賞者に表彰状・感謝状が贈られました。続いて行われた議事では、平成28年度決議処理報告、平成29年度運動方針が執行部原案通り可決され、大会宣言案・決議案も全会一致で採択されました。大会決議は文末に記します。また、各分科会につきましてはそれぞれの担当からの報告をお読み下さい。なお、来年度は70周年記念大会として東京都で開催されることが決まっています。
今回は片道7時間半というバスでの移動だったので、乗物酔い等心配な面もありましたが、天候にも恵まれほぼ予定通り無事旅行を終えることができました。会議と並行して計画した観光も大変好評だったので、そちらのレポートもどうぞご覧下さい。今回も、ツアーコンダクターの役割を快く引き受けていただいた山本理事、全体に目を配りながら移動の安全等サポートしていただいた小林事務局員に心より感謝申し上げるとともに、移動や食事の折など細やかな気配りをしていただいた付き添いの方々にもこの場を借りてお礼申し上げます。本当に有難うございました。
平成29年5月28日
副会長 矢崎繁
標記会議が26日午後4時より開催され、濱野昌幸会長の挨拶の後、昨年全国障害者スポーツ大会のグランドソフトボールで優勝し、2連覇を果たした広島県チームに表彰状の授与があり、議事に入りました。
議事は平成28年度事業報告、決算、監査報告、平成29年事業計画(案)、予算(案)、規約の改正、その他について審議されました。
規約の改正につきましては、日盲連の法人の変更による役員の任期と合わせ、一時的に3年になり、その後はまた1期2年になるという変更でした。
以上の執行部原案通りすべての議題が承認されました。
その後、午後5時より研修会、講師を徳島県立徳島視覚支援学校教諭 藤本聰氏によりテーマを「逆境は最大のチャンス〜マイナスからの再スタート」として行われました。まだ記憶に残る、ブラジル・リオで行われたパラリンピックの柔道で銅メダルを獲得した藤本氏です。手首の怪我を克服しつつ8年間の苦闘、経験より「継続は信なり」に至ったとして講演がされました。会場には過去5大会で獲得したメダルが回され、参加者が手に取ってメダルの重さや形状に触れ、賛辞と感動となりました。
副会長 広瀬清敏
以上慎重に審議され承認決定しました。 あはき問題戦略会議報告の中からその一部を掲載します。あはき等法19条を守る取り組み 平成28年7月に提訴された平成医療学園グループの訴訟に対してあはき等法19条を守るために日盲連が一丸となって取り組んだ。主な活動は次の通りである。
会長 堀口俊二
伊藤和男日盲連副会長、田中伸明名古屋市視覚障害者協会会長、後藤英信日盲連常務理事を助言者に迎え、41題の提出議題を協議し、一部修正の上すべて採択しました。質疑のあったものを中心に報告します。
まず、日常生活用具関係では、地域格差解消が議論の中心となり、日盲連が定めている品目一覧を元に、国に対し指針作りを求めていくことで意見集約されました。歩行訓練に関しては、歩行訓練士配置基準の制定、訓練士育成の推進、国家資格への格上げと報酬の適正化など、環境整備が当面の課題であり、これらのことを国に対し強力に働きかけていくことで一致しました。
65歳以上の介護保険問題では、65歳を過ぎると介護保険が優先されるため、サービスの質の低下が起こったり、それまでの障害福祉サービスが受けられなくなる、自治体職員やケアマネの無理解が適切なサービス提供の壁となっているなどの問題が提起されました。これに関して助言者田中氏からは、「65歳を過ぎると自動的に介護保険に切り替えられてしまうこと、障害福祉サービスと介護保険の併用に関する要件が市町村ごとに設定されていること、同じメニューがある場合に介護保険が優先することなど問題が多く、日盲連として改善に向け取り組む必要がある」との助言がありました。
同行援護関係の議題は昨年同様最も多く、8題を数えました。主な要望内容は、同行援護従業者の車の利用の制度化、支給量の地域間格差是正、単価の引き上げとサービス内容の底上げ、利用時間の制限撤廃を国から自治体へ徹底、自治体における同行援護制度を熟知した担当者の配置などです。いずれも毎年話題になっている事柄であり、ほとんど前進が見られていないのが残念です。
情報提供関係では、選挙公報発行の義務化の声が多く出され、要望に当たっては点字・拡大文字・音声等希望する媒体での発行を求めていくことが確認されました。
代読・代筆関係では、市区町村の意思疎通支援事業への代読・代筆の追加、金融機関のすべての書類への行員の代筆要望などが提案されました。これに対して助言者の伊藤氏から、「地域生活支援事業では代読・代筆サービスは必須となっているが、実際に行っている所は少ない。また、代読・代筆はしっかりしたルールを作って進めないと危険な面もある。銀行関係の代読・代筆はかなり進んでおり、もし拒否された場合は金融庁に申し入れてほしい。」との助言がありました。また、助言者の田中氏からは、「金融機関の代筆に関し、本人の意思を尊重してという文言を付け加えるべきである」との助言があり、一部文案修正の上採択しました。高齢者関係では、視覚障害者が養護老人ホーム入所を希望した際の市町村の措置に関わる経済的要件緩和を要望するとの提案がありました。本県で抱えている悩みでもあり、国に対し改善策を講じるよう求めていきたいものです。
その他の中で質疑が交わされたのは、「日本盲人会連合」という名称を「日本視覚障害者団体連合」に変更してはとの提案でした。意見交換の結果、大きな問題なので執行部検討事項とするということで採択されました。
今年も提出議題が多く、駆け足の協議となりましたが、一つでも多く要望実現がはかられるよう期待したいものです。
副会長 広瀬清敏
2日目に開かれた職業分科会には19条関係4題、無資格柔整その他4題、療養費関係3題、ヒューマンアシスタント4題、一般就労全般4題、就労継続支援関係2題、年金手当2題の23議題について3名の助言者のもと熱心な討議が行われました。
その中からいくつかを紹介します。やはり1番時間を要したのは19条関係でこの法律は議員立法であるため国の取り組み方に注意を注いであらゆる面で一層の働きかけが大切とのことでした。
無資格柔整その他では広告や看板など違法に気付いたら保健所に通報して行くことを薦められました。
ヒューマンアシスタント(職場介助者)の要望は多くなり視覚障害者にとっては今後必須の条件となりそうですがヒューマンアシスタントという名称は公には使われていないので今後職場介助者の名称を使うこととなりました。
就労継続支援施設の定員最低基準5人に緩和するよう要望するについてはそれまでも承認を受けているが山梨県内ではどうにもならないので日盲連より関係省庁にお願いしてほしいことを訴えました。
23の議題はすべて承認され白熱した討議でしたがほぼ時間通り終了しました。
副会長 矢崎繁
2日目のバリアフリー分科会では、座長に野口理事、清水(徳島県)、助言者に及川副会長、大胡田参与を迎え各団体より出された36題の提案議題が白熱した討論となりました。毎年出される提案も多い中、昨年度起きました駅ホームからの転落事故により駅ホームの安全対策に多くの議題が出されています。概要は次の通りです。
駅の安全対策について11題、交差点・信号機について10題、情報保障について2題、電車関係について3題、道路関係3題、施設関係2題、その他5題となっています。
本会で提案した情報保障「視覚障害者が理解できるようテレビのニュースや緊急放送の字幕スーパーの音声化と外国語の日本語吹き替えを要望する。」は本会も含め8団体から提案された議題となりました。
また今回はその他の「セルフレジの普及に伴い、視覚障害者が単独でも支障なく買い物ができるよう、音声のみでも使用できるような早急な改善を要望する。」、「白杖使用時における事故等で、加害者となることがないような法の整備をして頂きたい。」などもあり、白杖使用時の事故等で、加害者については、竹下会長によると今までは白杖使用時の大きな問題は起こってはいないが、適切な白杖の使い方を学ぶことが必要、また日盲連でそういった事故対策として保険の整備も進めているとのこと。また、助言者より安全に対応、設置、配慮してくれた方には感謝の気持ちを表すことが必要だという助言もありました。一部文言の修正がありましたが、すべての議題が採択されました。どの議題も、私たちにとっては切実な問題であり、身近なところから少しでも改善されることが望まれます。
埜村和美
天候に恵まれた日盲連徳島大会は、高速道路を乗り継ぎ、早朝家を出てから9時間余りの、長い旅路でした。1日目に見学した阿波おどり会館では、ステージのインストラクターによる阿波踊りのレクチャーの後、三味線や太鼓そして笛などの鳴り物にあわせて、観光客も一緒に踊る、にぎやかな雰囲気に包まれていました。阿波おどり会館の5階は眉山ープウエイの駅になっており、6分間の乗車の後、万葉集にも詠まれた眉山からの緑濃いパノラマを楽しみました。
2日目は、国の重要有形文化財に指定されている祖谷の蔓橋で、平氏の落人が追っ手の進入を防ぐために、切り落とせるようにと作られた、シラクチカズラで編んだ重さ5トンの吊橋です。編んだ蔓の上には間隔をあけて横板が張ってあるのですが、14メートル下は祖谷川の清流です。橋の揺れる中、靴底に板を確かめながら、そして友人の腕や声に支えられながらの、全長45メートルの何と長いこと。久々のスリル度120パーセントの緊張感を味わいました。昼食後は大歩危峡遊覧で、ここも剣山国定公園の一角に数えられています。日本3大暴れ川のひとつである吉野川と、この川を挟む両岸の岩の景観の案内を聞きながら、緑を渡る風と勢いのある河の流れを満喫したライン下りでした。
2日目の最後は、85棟が国指定重要伝統的建造物群保存地区に指定されている、脇町のうだつの町並み見学でした。うだつとは、屋根の両端に設けた漆喰の防火壁のことで、これを作るには相当の費用がかかったため、うだつはまさに富の象徴と言えました。脇町のうだつの町並みは、東西430メートルもあり、江戸中期に藍草の産業で栄え、吉野川の水運に恵まれたこの地は、その積み出し港として栄えたため、一時は100 を超える藍商人たちが栄華を極めたそうです。この日は、観光案内役として井口さんが同行し、うだつの町並みの歴史や文化、また藍草にも触れさせてくださいました。お話から、町ぐるみでうだつの町並み保存に力を入れている様子がうかがえ、別れにハーモニカで演奏してくださった『ふるさと』は、旅の心にあたたかく響きました。
3日目は午前中、第70回盲人福祉大会の式典に出席し、午後は最後の見学地である鳴門の渦潮観光に向かいました。鳴門海峡は、鳴門市と淡路島の間の幅約1300メートルの海峡で、この海峡を境に潮の干満により、瀬戸内海側と太平洋側に潮流が生じます。また鳴門海峡は中央部が急激に深くなるV字型になっており、海峡の両側の浅瀬の場所とは潮流の速度が違います。このようにして激しい流れとゆるやかな流れの境目付近に、大きな渦巻きが見られるのだそうです。私たちは観潮船『ワンダーなると』に乗船し、もっとも渦潮が見られる大鳴門橋の下まで行き、次々に起こる渦潮の大迫力の音を楽しみました。
日の出観光の二人のドライバーの安全運転と、ヘルパーさんの協力、それに全員元気に3日間過ごせたことは何よりでした。福祉大会に参加した1500人のパワーを糧に、これからも会活動に取り組んでいきたいと思います。
部長 岡部恵子
女性部研修が5月21日、防災新館山梨県生涯学習センターにおいて、塚原みゆき先生を招き健康の基本は食にありをテーマに話されました。その中で、食の一番大切などは塩分摂取量など諸々のことを考えることはもちろんなこと、それより何より、あまりにも考えすぎてストレスを感じることはよくなく、食事を楽しく美味しく食べることが大切である。それには、食事会等に誘われたら、積極的に参加することも1つの手段である。それから軽スポーツを毎日心がけましょうと話していただきました。
塚原先生の話の後活発な質問が会員のなかからあり有意義な講演が出来たことと思います。研修終了後総会を行い全ての議題が承認されました。今年度も協力よろしくお願いします。
部長 岡部恵子
標記大会が9月5日(火)より7日(木)の3日間、群馬県高崎市で開催されます。バスでの往復と現地での観光を予定しています。経費は参加人数でかわりますが、28,000円前後になります。観光は榛名山ロープウェイ、水沢観音、富岡こんにゃくパークなどを予定しています。出発は甲府駅を午前6時、帰着は甲府駅に午後6時30分の予定です。
申込締切は6月25日(日)です。お誘いあわせの上、多くの皆様の申込みをお待ちしています。参加ご希望の方、お問い合わせは、事務局小林(電話055-252-0100)までご連絡ください。
尚、懇親会参加の方は5,000円、資料を希望する方は1,000円追加になります。申込の際あわせてお申し付け下さい。
会長 市瀬實
山視協の一クラブであるハーネス友の会は1期2年の会長職を順番で担当することになり、今季は市瀬にその任が回って来ました。
本会は盲導犬・アイメイト使用者が20名、ボランティアさんたちも、会の副会長・会計・幹事、事務局他、それぞれ各部署で会の活動を支えてくださっています。獣医師会等の団体が、大きな後ろ盾になってくださっています。
今年も機関誌「リード」の発行、山中湖方面での盲導犬キャンペーン、動物愛護デーへの参加、他の事業が計画されています。
国土交通省は、7月下旬まで標記キャンペーンを実施中です。このキャンペーンは、目の不自由な方の駅ホームからの転落事故防止に向けて、鉄道利用者に、声かけや見守りの重要性を伝え、実施の行動(声かけ、誘導案内、見守り)へと繋げていくことを目的とするものです。
平成医療学園グループの横浜医療学園専門学校が、国に対しあはき法19条によるあマ師養成施設設置の非認定処分を取り消すことを求める訴訟について、4月19日、東京地裁にて、第4回口頭弁論が行われた。法廷傍聴には、98枚の傍聴券を求めて120名あまりがつめかけた。
閉廷後、日本盲人福祉センターにおいて、東京地裁平成医療学園あはき訴訟第4回集会が開催され、日本盲人会連合関東地区の各団体、日本理療科教員連盟、全日本視覚障害者協議会、日本あん摩マッサージ指圧師会など70名が参加した。
意見交換では、署名運動やはがき作戦を早急に行うことや、東京地裁関係者の連絡会を開催すること、各団体の連携を強めることなどが議論され、解散した。
8月31日(木)から9月4日(月)まで山交百貨店5階催事場で開催される山梨県障害者福祉協会主催の障害者文化展の作品を募集します。
参加資格 県内に居住する障害者
出品方法 7月14日(金)から25日(火)までに地域の保健福祉事務所、市福祉事務所へ申し込んでください。
要綱等必要な方は事務局小林(電話055-252-0100)までどうぞ。
年々暑くなる時期が早まっているように感じられる今日この頃ですが皆様はいかがお過ごしでしょうか。本号では全国福祉大会(徳島大会)の報告が掲載されています。私も会議組で参加させていただきました。帰りの鳴門海峡の渦潮の見学はたまたま満ち潮の時間と一致したのでしょうか渦に船が引き込まれるかのような足元の感じと、しぶきと音に迫力を満喫しました。いよいよ暑さも厳しくなります。皆様も体調には気を付けてお過ごしください。
(事務局長 矢崎繁)
山視協だより 平成29年6月号
発行人 一般社団法人山梨県視覚障がい者福祉協会
〒400−0005 山梨県甲府市北新1−2−12
山梨県福祉プラザ1階
発行責任者 会長 堀口 俊二
編集責任者 事務局長 矢崎 繁
電話 055−252−0100
FAX 055−251−3344
http://yamashikyo.sakura.ne.jp
学校法人平成医療学園(以下、「平成医療学園」という)は、自らが設置経営する3校の養成施設と大学のあん摩マッサージ指圧師養成課程の新設認可申請が不認定とされたことを不服として、国を相手にその不認定処分の取り消しを求め訴訟を提起した。
訴訟の当事者は平成医療学園と国であり、我々は裁判の当事者ではないが、訴訟の結果によっては視覚障害あん摩マッサージ指圧師が失職し、あるいは視覚障害者があん摩マッサージ指圧師の職域から閉め出されかねないことを考えれば、我々こそが実質的には当事者であるとの認識に立ち、国の立場を強く支持するものである。
あん摩マッサージ指圧師、はり師、きゆう師等に関する法律(以下「あはき等法」という。)19条は、「当分の間、文部科学大臣又は厚生労働大臣は、あん摩マツサージ指圧師の総数のうちに視覚障害者以外の者が占める割合、あん摩マツサージ指圧師に係る学校又は養成施設において教育し、又は養成している生徒の総数のうちに視覚障害者以外の者が占める割合その他の事情を勘案して、視覚障害者であるあん摩マツサージ指圧師の生計の維持が著しく困難とならないようにするため必要があると認めるときは、あん摩マツサージ指圧師に係る学校又は養成施設で視覚障害者以外の者を教育し、又は養成するものについての第二条第一項の認定又はその生徒の定員の増加についての同条第三項の承認をしないことができる。」と定めている。
平成医療学園は、この規定が制定されてから半世紀あまりが経過しており、@視覚障害者に対する年金などの社会保障が充実し、あん摩マッサージ指圧師以外の職業に広く就職しているなどとしてこの規定の意義は失われているAあはき等法19条は憲法22条によって保障された平成医療学園の営業の自由を侵害するものであり、国の不認定処分は憲法31条によって保障された手続き的保障に反するなどと主張している。しかし、それらの主張は現状の認識を大きく誤り、憲法解釈にも反するものである。
障害者雇用促進法が施行された今日においても、視覚障害者の職域は依然として狭く、視覚障害者の一般雇用は極めて低位のまま推移しており、今日においてもあん摩マッサージ指圧業は視覚障害者の中心的職種なのである。また、視覚障害あん摩マッサージ指圧師の収入は、晴眼あん摩マッサージ指圧師に比較して極めて低い状態が続いている。
他方、年金などの社会保障が制度化されたとはいえ、障害者の生活は引き続き困難な状態が続いており、障害者の生活保護受給率は一般国民の10倍を超えているのである。
視覚障害者の職業選択の自由が未だ実現していない中で、平成医療学園の主張が認められることがあれば、あん摩マッサージ指圧業の分野からも視覚障害者が実質的に閉め出されることとなり、視覚障害者の就労を通じた自立をも奪う結果となることは必定である。
我々は、そうした事態を回避するため、広く国民の理解と支持をも得て、視覚障害者の関係団体だけでなく、あはき業界との連携の下に国が勝訴するために全力を尽くすことをここに決意するものである。