第43号 平成29年7月14日発行
一般社団法人山梨県視覚障がい者福祉協会会報
巻頭言 | |
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平成医療学園訴訟東京地裁第5回口頭弁論傍聴報告 | ・・・・・2 |
今後の予定 | |
無資格者撲滅キャンペーン | ・・・・・3 |
平成29年度第2回役員会のお知らせ | ・・・・・4 |
福祉部講演会のお知らせ | ・・・・・4 |
体育文化部研修のご案内 | ・・・・・4 |
トピックス | |
合理的配慮の提供等事例集 | ・・・・・4 |
支部だより | |
甲府支部 | ・・・・・7 |
クラブだより | |
パソコンクラブより | ・・・・・8 |
事務局よりお知らせ | |
書き損じはがきのご寄付のお願い | ・・・・・8 |
厚生労働大臣免許保有証の交付申請受付開始 | ・・・・・8 |
第37回山梨県障害者技能競技大会の参加選手募集 | ・・・・・8 |
白い杖愛護作文・生活体験文募集 | ・・・・・9 |
心のバリアフリーを広げるポスターと標語の募集について | ・・・・・9 |
パナソニックショウルーム体験会 | ・・・・・9 |
あはき等法19条を厳守することを求める決議(日本盲人会連盟)ページ内リンクです。
あはき等法19条を厳守することを求める決議(日本盲人会連盟)
日盲連より歩行訓練に関する調査が完了し、このたび、報告書にまとめることができました。日本盲人会連合ホームページへ。
歩行訓練に関する調査報告書
近鉄河内国分駅における視覚障害者の転落死亡事故に関する緊急声明 社会福祉法人 日本盲人会連合ホームページへ。
近鉄河内国分駅における視覚障害者の転落死亡事故に関する緊急声明
「山視協だより」は赤い羽根共同募金の配分金により作成されています。
会長 堀口俊二
今年は暑い夏になるという予報が出ているようですが、この時期になると話題に上るのが熱中症です。もちろん、暑い時期の激しい運動は禁物ですが、ほどほどの運動で適度な汗が出るような体を作っておくことは熱中症の予防になるようです。私はここ数年、ウオーキングでさわやかな汗を流しているせいか、夏の間も体調は良好です。お互いそれぞれ自分に合った健康法でこの夏を元気に乗り切りましょう。
さて、今月号では去る6月14日に傍聴した標記裁判とその後の集会について報告します。本会からは小笠原、小田切、山本の各理事と私の4名で参加しました。98名の傍聴席に対し147名が詰めかけましたが他団体のヘルパーさんと傍聴券を交換するなどして全員が法廷に入ることができました。
まず、前回平成医療学園側が国に対して提出を要求した資料2点については、国側から昭和37〜38年のあはき等中央審議会議事要旨を必要部分をマスキング処理の上提出準備中である、横浜医療学園専門学校の申請を不許可とした医道審議会議事録は必要箇所をマスキングの上提出したとの回答がありました。
その後、原告から「健常者の養成学校が増えてもマッサージの需要は多く、それを吸収するだけなので視覚障害者の生計を圧迫することにはならない」、「有資格者を増やし無資格者を減らすことが視覚障害者の生計維持につながるのではないか」、「昭和38年の中央審議会で、保健あん摩師のみ保護するとの答申があったようだが、それが19条には生かされていない」などの主張がありました。
また、国からの資料では「あん摩マッサージ指圧師晴眼養成学校定数以上の健常あん摩マッサージ指圧師の増加がうががえるがなぜか」、「昭和39年以降あん摩マッサージ指圧師の晴眼養成学校は新設されていないのに、生徒数の増加が示されているのはどういう理由か」の2点の質問があり、次回、これらの主張や質問に対する国の回答が示されることとなりました。
裁判終了後の集会では、まず東京地裁の訴訟に対応する組織として5月13日に、日盲連関東ブロック協議会、日本理療科教員連盟、全日本視覚障害者協議会、日本あん摩マッサージ指圧師会の4団体からなる「あん摩師等法19条協議会」が結成され、今後の運動はこの組織が母体となって進めることが報告されました。その後、各団体からの現状報告、大胡田弁護士からの裁判内容説明、意見交換などが行われ、各団体一丸となって取り組むことを確認し会を閉じました。
まだまだ先の長い戦いですが、少しずつ争点が具体化してきたように思います。以前にも書いた通り、現在あはきで生計を立てている皆さんの生活に直接関わる問題であるのはもちろんのこと、後輩たちの職域確保のためにも19条の死守は不可欠と考えますので、会としてもできる限りの活動をしていきたいと思います。既にお願いした署名や葉書活動、募金活動などへのご協力に感謝申し上げるとともに、今後に向けさらなる力の結集をはかっていきたいと思いますので何卒よろしくお願い致します。
なお、署名や葉書、募金活動につきましては、第一段の締め切りを8月末としておりますことを申し添えます。特に、署名用紙は増し刷りできますので、必要な方はお申し付けいただければ幸いです。
また、行事の際、募金箱を設置致しますので振込等大変な方はご参加の際お持ち頂くこともできます。ご協力をよろしくお願い致します。
事務局長 矢崎繁
8月20日(日)午前10時より第2回役員会を県立図書館交流ルーム102にて行ないます。役員の方には是非ご出席下さいますようお願い致します。都合によりやむを得ず欠席される方は必ず事前に事務局までご連絡下さい。以下は主な議題です。
部長 返田順子
福祉部では次のような内容で講演の計画をたてました。
心も体も開放的な夏。このお話をきいたならできるだけおでかけして何か楽しいことを発見してみませんか!皆様からの多くの参加をお待ちしています。
部長 埜村和美
今年は初秋の箱根路を計画しました。喜怒哀楽を表現している石仏に触れたり、芦ノ湖を渡る風を感じたり、早い秋を告げる花に出会ったりと、箱根路のロマンを味わってみませんか。皆さん、お誘い合わせてご参加ください。8月25日(金)までに、各支部長さんにお申込み下さい。
視覚障害:生活場面例:行政
はじめに障害者が困っていることや合理的配慮の提供の申出などを記載し、カッコ内にどのように合理的配慮を提供したのかを記載しています。
・役所に申請手続に来たが、慣れない場所なので、どこで受付すればよいのか分からない。
(驚かせることのないように、正面から「私は○○ですが、何かお手伝いしましょうか?」と声をかけて受付窓口までご案内した。)
・視覚障害者にとっては、代筆・代読もコミュニケーション手段として欠かせない。
(視覚障害者が一人で役所に来られたときには、本人の希望を踏まえて、職員が代読・代筆をするようにした。特に代筆の場合には、複数の職員で確認するようにしている。)
・フォーラム当日のパンフレット配付では、何が書いてあるのか読めないので、フォーラムの内容が分かりにくくなってしまう。
(事前に連絡があり、またパソコンの読上機能を使えるということだったので、パンフレットの電子データを提供した。)
・図書館を利用するときに、蔵書の検索機を操作できず、書架のレイアウトも分からない。
(要望に沿って職員が検索機を操作したり、本を代わりに取ってくるなどの配慮を行った。)
・博物館施設の見学イベントがあるので参加したい。直接触れることのできる展示物があるとありがたい。
(展示物に触れることは禁止されているが、差し支えないと思われるものについては触れてもよいこととした。)
・まず整理券を取り、受付の順番になると整理番号がモニターに表示される仕組みであったが、表示されても気づくことができない。
(受付の担当者が整理番号を把握しておき、順番になったときには声かけを行った。)
・列に並んで順番待ちをする場合には、並ぶべき列の終端や徐々に進んでいくタイミングが分からない。
(店員が順番について把握しておき、順番となるまで列とは別のところで待機できるようにした。)
・盲導犬を連れたお客が来店したところ、他のお客から犬アレルギーだという申出があった。
(双方にご了解いただいたうえで、お互いが離れた位置になるよう配席を変更した。)
・定食など複数の食器に分かれて盛り付けられている料理では、どこに何があるのか分かりにくい。
(店員が配膳するときに、食器の位置や料理内容について説明する配慮を行った。)
・買いたい商品があるのだが、陳列棚のどこに置いてあるのか、また価格はいくらなのかが分からない。
(商品が置いてあるところまでご案内し、価格や機能などの表示情報を読み上げてお伝えした。)
・自分の好みに合う衣料品を購入したい。
(衣料品の形状や色について口頭で説明し、布地に触れて肌触りを確かめていただいた。)
・銀行のATMや食堂の券売機などを使用したいときに、タッチパネル式になっていると操作できない。
(ATMについては暗証番号を聞くことについてご了解いただいたうえで店員がATMや券売機などのタッチパネル操作を代行した。)
・トイレの場所を聞いたときに入口まで案内してくれたのだが、複数の便器があるトイレだったので中で困ってしまった。
(同姓の店員がいる場合には、トイレの中まで案内するようにした。)
・駐車場から店舗までの通路にある点字ブロック上に、他のお客の自転車が置かれており立ち往生してしまった。
(店舗まで店員がご案内するとともに、点字ブロック上の自転車は駐輪場へ移動させた。)
支部長 広瀬清敏
5期10年の長きにわたり甲視協会長をつとめられ、昨年10月には60周年記念大会を盛大に成功させた市瀬会長が勇退されました。今年度から会員86名の甲府支部の支部長となりました広瀬です。よろしくお願いします。
4月の総会から始まり6月の陶芸教室、7月にはわの会との交流会、10月はIT講習会、11月の第1日曜日には甲府市ライフスポーツ市民大会、後半には甲鍼マ会との合レク、年がかわり2月には料理教室と行事が続きますが会員の皆様の参加協力をよろしくお願いします。
甲府駅南口でエレベーターの工事が7月から遅くとも8月には始められる予定ですのでご注意下さい。南口エスカレーター西側の階段をなくし、エレベーターを取り付けます。これは障害者の要望が認められた大きな成果かと思います。
部長 梶原剛
パソコンクラブでは、第4日曜日の学習会、新年会、総会などの行事を行っています。クラブ員に喜んでもらえる活動を、これからもしていきます。
本会では毎年、山梨県内の幼稚園・保育園、小中学校、高等学校などに「書き損じはがき」などのご寄付をお願いして、たくさんの方々にご協力頂いております。会員の皆様も書き損じはがきや不要になった官製はがき、切手などがありましたら、行事の際などにお持ちいただけますようお願いします。
受付には写真、住民票、あん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師免許証などが必要です。詳しくは事務局にお問い合わせ下さい。締切は8月31日(木)です。
アビリンピックやまなし2017 参加選手募集
「共生社会」を広く県民がイメージできるポスターと標語を募集します
小中学生の部と一般の部があり、締切は9月6日(水)です。
標語は共生社会を促進するもので、県民に分かりやすいもので、文字数は35文字以内です。
応募先 山梨県福祉保健部障害福祉課企画推進担当
メールアドレス shogai-fks@pref.yamanashi.lg.jp
電話 055−223−1460
6月末より九州など各地では大雨で被害が出ているとのニュースがありましたが、山梨では空梅雨の影響でしょうかジャガイモが小さくて不作とのこと。なかなか気候には逆らえないこの頃ですが、皆様いかがお過ごしでしょうか。7月に入ってからは、適度な雨も降り、標高の高い我が家の菜園ではジャガイモの収穫は7月中旬となりますので少しは期待できるでしょうか。本格的な暑さがやってきました。皆様体調には十分注意されお過ごしください。
(事務局長 矢崎繁)
山視協だより 平成29年7月号
発行人 一般社団法人山梨県視覚障がい者福祉協会
〒400−0005 山梨県甲府市北新1−2−12
山梨県福祉プラザ1階
発行責任者 会長 堀口 俊二
編集責任者 事務局長 矢崎 繁
電話 055−252−0100
FAX 055−251−3344
http://yamashikyo.sakura.ne.jp
学校法人平成医療学園(以下、「平成医療学園」という)は、自らが設置経営する3校の養成施設と大学のあん摩マッサージ指圧師養成課程の新設認可申請が不認定とされたことを不服として、国を相手にその不認定処分の取り消しを求め訴訟を提起した。
訴訟の当事者は平成医療学園と国であり、我々は裁判の当事者ではないが、訴訟の結果によっては視覚障害あん摩マッサージ指圧師が失職し、あるいは視覚障害者があん摩マッサージ指圧師の職域から閉め出されかねないことを考えれば、我々こそが実質的には当事者であるとの認識に立ち、国の立場を強く支持するものである。
あん摩マッサージ指圧師、はり師、きゆう師等に関する法律(以下「あはき等法」という。)19条は、「当分の間、文部科学大臣又は厚生労働大臣は、あん摩マツサージ指圧師の総数のうちに視覚障害者以外の者が占める割合、あん摩マツサージ指圧師に係る学校又は養成施設において教育し、又は養成している生徒の総数のうちに視覚障害者以外の者が占める割合その他の事情を勘案して、視覚障害者であるあん摩マツサージ指圧師の生計の維持が著しく困難とならないようにするため必要があると認めるときは、あん摩マツサージ指圧師に係る学校又は養成施設で視覚障害者以外の者を教育し、又は養成するものについての第二条第一項の認定又はその生徒の定員の増加についての同条第三項の承認をしないことができる。」と定めている。
平成医療学園は、この規定が制定されてから半世紀あまりが経過しており、@視覚障害者に対する年金などの社会保障が充実し、あん摩マッサージ指圧師以外の職業に広く就職しているなどとしてこの規定の意義は失われているAあはき等法19条は憲法22条によって保障された平成医療学園の営業の自由を侵害するものであり、国の不認定処分は憲法31条によって保障された手続き的保障に反するなどと主張している。しかし、それらの主張は現状の認識を大きく誤り、憲法解釈にも反するものである。
障害者雇用促進法が施行された今日においても、視覚障害者の職域は依然として狭く、視覚障害者の一般雇用は極めて低位のまま推移しており、今日においてもあん摩マッサージ指圧業は視覚障害者の中心的職種なのである。また、視覚障害あん摩マッサージ指圧師の収入は、晴眼あん摩マッサージ指圧師に比較して極めて低い状態が続いている。
他方、年金などの社会保障が制度化されたとはいえ、障害者の生活は引き続き困難な状態が続いており、障害者の生活保護受給率は一般国民の10倍を超えているのである。
視覚障害者の職業選択の自由が未だ実現していない中で、平成医療学園の主張が認められることがあれば、あん摩マッサージ指圧業の分野からも視覚障害者が実質的に閉め出されることとなり、視覚障害者の就労を通じた自立をも奪う結果となることは必定である。
我々は、そうした事態を回避するため、広く国民の理解と支持をも得て、視覚障害者の関係団体だけでなく、あはき業界との連携の下に国が勝訴するために全力を尽くすことをここに決意するものである。