第107号 令和4年11月15日発行
一般社団法人山梨県視覚障がい者福祉協会会報
巻頭言 | |
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第2回全国団体長会議に参加して | ・・・・・2 |
今後の予定 | |
職業部講演会開催のご案内 | ・・・・・3 |
支部だより | |
甲州支部 | ・・・・・5 |
トピックス | |
令和4年度障害者援護功労等知事表彰について | ・・・・・6 |
中銀河口湖支店にインターフォン設置 | ・・・・・6 |
事務局よりお知らせ | |
労災保険特別加入の事前受付・お問合せのご案内 | ・・・・・7 |
障害者相談員等研修会のお知らせ | ・・・・・8 |
キースへリングの作品を「鑑賞」してみましょう | ・・・・・8 |
編集後記 | ・・・・・10 |
「山視協だより」は赤い羽根共同募金の配分金により作成されています。
会長 堀口俊二
「白玉の歯にしみとほる秋の夜の酒はしづかに飲むべかりけり」
こんな歌がしっくりくる季節となりましたが、皆さんお変わりありませんか。相変わらずうっとうしいコロナ禍、家でお気に入りの飲み物片手に秋の夜長を心静かに過ごすのもいいかもしれませんよ。
さて、日視連の標記会議が去る10月7日にオンラインで開催されました。「国連障害者権利委員会日本審査について」の報告、「障害者情報アクセシビリティ・コミュニケーション施策推進法」についてをテーマとした研修会、「加盟団体支援プロジェクト委員会中間とりまとめ」から考える日視連加盟団体の困りごとや課題をテーマとした協議と意見交換の3部構成で行われましたが、一番心に残ったのが3番目の加盟団体の困りごとや課題をテーマとした協議と意見交換です。
会員の高齢化と若い会員が増えないことによる会員数減少、若年層の組織離れ、青年部活動が成り立っている団体は50%、役員の成り手がない、会員以外の視覚障がい者の情報がつかめず会を知ってもらう活動ができない、交通アクセスの不便さにコロナの影響が加わり思うように事業ができていない、財政難で運営が困難になっているなど、多くの団体が共通の悩みで苦慮している様子が明らかとなりました。
本会にとってもすべて身につまされる課題であり、改めて打開策を検討しなければという思いを強くしました。まず、組織の若返りが最大の課題であり、これなくして会の将来は語れませんが、なかなかこれという方策が見いだせていません。会員以外の視覚障がい者に、会の存在や活動内容をいかに伝えていけるかも、会員確保に向けた大きな課題ですが、個人情報という高い壁に阻まれ、これまた解決の手がかりがつかめません。会員数減少による支部の弱体化も、地域福祉の後退につながりかねない大変由々しき問題です。財政的にも、会費収入は減るばかりで、真愛センター平井さんのご尽力による、書き損じはがき回収事業の収入に依存しているという厳しい実情です。
何やら暗い材料ばかり書き並べましたが、その一方で、山視福協の活動が長年にわたり県内視覚障がい者の生活環境を向上させてきたことは確かであり、その意味で会の存在意義は非常に大きいものと考えます。そんな中、会では新しい試みとして弱視者の悩みや困りごとを自由に語り合えるメーリングリストの立ち上げを企画し、動きはじめたところです。詳細は来月号に掲載予定ですが、新たな風を起こすきっかけになればと期待しています。
最近、SDGsという言葉をよく耳にしますが、まさにいかにして持続可能な会にしていくかを問われているような気がします。大変大きなテーマであり、暗中模索の感もありますが、皆さんと知恵を出し合いながら少しでも良い方向に進めていければと考えます。ご意見やお考え等ございましたら是非お聞かせください。
職業部長 酒井弘光
11月に入り、季節は秋から冬へと確実に進みつつあるようです。そして、新型コロナウイルス感染症の第7波はすでに落ち着きましたが、またすぐに新しい波が来るのかもしれません。ただし、ワクチン接種も早い方では5回が終了し、世の中では感染対策をしっかりしながら行動の制限はせず、社会を回していこうという動きになっております。
そんな情勢の中、職業部では澤登 拓氏を講師にお招きし、職業部講演会を計画しております。澤登氏は株式会社フレアスの創設者であり、現在は代表取締役会長としてご活躍されております。また、本県の山梨県はり師きゅう師マッサージ師会の会長としても業界をけん引されております。
今回の講演会では、訪問マッサージ業の現状や今後の居宅支援事業の未来像、そして、このような現場で視覚障がい者がどのようにはたらいていくのかご講演をいただきたいとおもいます。
支部長 矢ア繁
会員の皆様こんにちは。コロナ感染、いつまで続くのでしょうか。終息を願うばかりです。では、甲州支部の令和4年度の主な行事について紹介します。
4月の総会で会員さんより意見を頂き例年通り役員会以外の三つの行事となりました。主な内容は次の通りです。
今後は私たちの支部も高齢化などで行事など難しくなりつつありますが関係者のご尽力をいただきながら進めていきたいと思いますので今後もよろしくお願いします。
11月4日(金)に甲府駅北口よっちゃばれ広場において行われた表彰式典において本会の利根川かおる様が自立更生者として表彰されました。おめでとうございます。
木村昭子
今年の10月に山梨中央銀行(以下 中銀)河口湖支店にインターフォンが設置されてますます利用しやすくなりましたのでその経緯を記載します。
私が中銀を利用し始めてから10数年になります。それは我が家から最も近い金融機関で更に店内に設置しているATM(現金自動預け払い機)がシンプルで使いやすかったこと、行員さんが親切に対応してくれたからです。
しかしこの中銀の入り口が道路から駐車場をはさみ30メートルほど奥にあるのです。それまでは盲導犬と共に利用していたのですが去年の秋に盲導犬が退役療養になりました。その結果私一人では銀行へ行きにくくなり、でも今まで通りに自分のお金はどうしても自分で管理したいと勘案した結果、今年の7月に思い切って中銀本部へ電話をしました。そして駐車場入り口から銀行のスロープまで点ブロを敷設して頂きたいと要望しました。それから間もなく中銀から話し合いをしたいという連絡を頂いて中銀の役員さんと河口湖支部の近藤さん、ライトハウスの金山さんと私で数回話し合った結果、点ブロの敷設は困難でそのかわりにインターフォンの設置に決まりました。
こうしてこの10月に待望のインターフォン設置完了の説明会が行われました。支店長さんから道路沿いの駐車場のいっかくをつぶしてそこへインターフォンを設置して下さったとのお話で私たちは恐縮し心からお礼を申し上げました。
そののちにインターフォン設置場所を確認したところ、その入り口から点ブロが敷設されてそれに沿って2メートルほど進んだところに機械が据え付けられてあり大人の目線辺りから上に順にカメラ、インターフォン、点字説明板掲示と大変簡単で使用しやすいようです。また銀行入口へ向かって土日休日を除く朝9時から午後5時までガイドチャイムが作動しています。更に機械の両脇にもガードレールで安全が確保されていました。
今回私ごとき者の要望にも誠意をもって対応して下さったのですから会員の皆様もATM操作やその他困りごとがありましたら中銀へご相談されるときっと良い解決策が得られると思います。
なお、山梨中央銀行河口湖支店様より次の文書を頂いておりますのでお知らせ致します。
「山梨中央銀行では、窓口の手続きやATMのご利用でお客さまがお困りの際は、サポートいたしますのでお声かけください」
日本視覚障害者団体連合あはき協議会から、労災保険特別加入の事前受付・お問合せの案内が来ています。お問い合わせは、
電話 03−5944−9010(代表)
メール info@ahaki-rousai.jp
今年も残すところ約40日余りとなってしまいました。気持ちの上でも何となく気ぜわしさを感じてしまうのですが、こんな時だからこそ触れて欲しい映画を紹介します。
タイトルは、こころの通訳者たち What a Wonderful World 10月1日から先行公開されている。これは手話通訳付きの演劇制作を追ったドキュメンタリーを、視覚障がい者に伝えようとする人々を追ったドキュメンタリー映画である。
舞台手話通訳とは 演劇を聴こえない人にも楽しんでもらうため、舞台作品の進行に合わせて手話で台詞や情景を伝える同時通訳のこと。通常の手話通訳とは異なり、演出家の指導のもと、通訳者も1人の出演者として役者と同じ衣装を着て舞台に立つことになる。
登場する手話通訳者は3人。土台となったのは、ドキュメンタリー映画『ようこそ 舞台手話通訳の世界へ』。これは、舞台上で手話の同時通訳をする人々がメインであるため、言葉を発さず、動きと表情で伝える手話にも音声ガイドを付けなければならない。ということは、役者のセリフと被らざるを得ない。くわえて、手の動き自体を説明するのではなく、その意味を説明しようと試みたから、より大変となる。
なぜなら、打ち合わせのなかで、手話は文章ではなく、ラベルという単語を組み合わせるもので、劇中セリフの翻訳は個人に任されており、その表現方法は人によって異なることを知ることになるからだ。
こうして、聴こえない人の翻訳者の苦労を見えない人の翻訳者である劇場側が、対話を重ねることで新たな発見をし、理解を深めていく。モニターとして参加した視覚障がいたちも、自分とは異なる障がい者の言葉や、その違いを知ることで自分の世界を広げていく。やがて、この前人未到のチャレンジを諦めなかったメンバーたちは、言語を超え、障がいのあるなしを超えて、心を繋いでいくのだ。
個人主義が進む現代社会のなか、違いを認めて対話を重ねることの大切さを確認するためにも、本作の観劇をお薦めしたい。
監督:山田礼於
出演:平塚千穂子、難波創太、石井健介、近藤尚子、彩木香里、白井崇陽、瀬戸口裕子、廣川麻子、河合依子、高田美香、水野里香、加藤真紀子
皆さんにも、心に残る一作品になるに違いない。
(事務局長 小林誠)
山視協だより 令和4年11月号
発行人 一般社団法人山梨県視覚障がい者福祉協会
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山梨県福祉プラザ1階
発行責任者 会長 堀口 俊二
編集責任者 事務局長 小林 誠
電話 055−252−0100
FAX 055−251−3344
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