第102号 令和4年 6月15日発行
一般社団法人山梨県視覚障がい者福祉協会会報
巻頭言 | |
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第75回全国視覚障害者福祉大会(名古屋大会)開催 | ・・・・・2 |
行事報告・第75回全国視覚障害者福祉大会(名古屋大会) | |
職業分科会報告 | ・・・・・5 |
バリアフリー分科会報告 | ・・・・・5 |
生活分科会報告 | ・・・・・6 |
クラブ活動報告 | |
関東地区グランドソフトボール大会報告 | ・・・・・7 |
ハーネス友の会 | ・・・・・8 |
トピックス | |
日視連顕彰受賞者 | ・・・・・9 |
事務局よりお知らせ | |
第48回全国視覚障害者文芸大会の参加者募集 | ・・・・・9 |
「市民自主企画講座(チラシで作るエコ鍋敷き)」参加者募集 | ・・・・・10 |
編集後記 | ・・・・・10 |
「山視協だより」は赤い羽根共同募金の配分金により作成されています。
会長 堀口俊二
我が家の前の川には、毎年6月第2週になると蛍が飛び交い、梅雨入りが近いことを教えてくれます。今日は6月4日、今年もまたこの蛍に出会えるのか、心待ちにしながらこの原稿を書いています。
さて、標記の大会が5月31日〜6月1日、ANAクラウンプラザホテルグランコート名古屋を会場に開催されました。とはいってもまだコロナ不安の残る中、YouTubeやZoomなどオンラインを併用したいわゆるハイブリッド方式での開催となり、私もオンラインでの参加を選択しました。
また、一昨年・昨年の経験を踏まえ、様々な工夫がなされた大会でもありました。最大の工夫といえるのが、生活・バリアフリー・職業の各分科会を大会に先立って4月にオンラインで行い、大会当日の日程をコンパクトにしたことです。関係者のご苦労をひしひしと感じます。この分科会には本会でも参加済みなので、この後の分科会報告で概要を報告します。
そんな中、第1日目に行われたのがシンポジウム「未来に向けてのメッセージ〜多様性ある社会を目指して〜」と、令和4年度第1回全国団体長会議です。シンポジウムは、青年部・女性部からの現状報告と問題提起を軸に進められました。部員の確保はどちらにも共通の課題で、特に青年部においては、組織として活動が成り立っている団体が50%とかなり危機的な状況が報告されました。他団体との合同事業やブロックを活用した事業の模索の必要性も提起されました。竹下会長からも、青年部や女性部は日視連を支える重要な柱であり、その充実に向け様々な形で取り組んでいく必要があるとの発言がありました。併せて、女性や青年層の役員を増やすなど、それぞれの意見を会活動に反映させる体制づくりが重要との発言もありました。また、子育てや買い物は、今や女性だけの問題ではないという認識に立った取り組みが必要との見解も示されました。
第1回全国団体長会議では、今年度運動方針の審議と、4月に行われた三つの分科会報告がなされました。運動方針では以下の項目が提案され、審議の上、提案通り翌日の全体会にかけることとなりました。
会長 堀口 俊二
職業分科会は4月14日(木)にオンラインで行われ、全国から55名が参加しました。あはき協議会会長須藤正起氏、愛媛県視覚障害者協会会長楠本光男氏を座長に26題の提案議題を協議しました。
提案議題をテーマ別にまとめてみると、重度障がい者等に対する通勤や職場等における支援に関するもの7題、雇用・就労支援に関するもの5題、受領委任制度に関するもの3題、あはきの雇用拡大に関するもの3題、無免許・無資格に関するもの2題、あはき師への支援に関するもの2題、あはき業における事務処理に関するもの2題、職場介助者(ヒューマンアシスタント)に関するもの、音楽家への支援に関するもの各1題となっています。
最も題数の多かった通勤や職場等における支援に関するものの多くは、いわゆる雇用と福祉の連携を謳った重度障害者等就労支援特別事業の充実に関する要望であり、この制度普及への期待の大きさがうかがわれます。また、雇用・就労支援に関するものにおいては、一般就労の促進や環境整備など、一般就労に関する要望が大半を占め、あはき以外の職業開拓への動きが広がりつつある印象を受けました。視覚障がい者の職業的自立は長年にわたる課題であり、これからの若い世代が希望する食種で経済的自立が果たせるよう、本会としても就労環境の改善に向けた運動に注力していく必要性を痛感しました。
副会長 埜村和美
標記会議は、去る4月12日(火)13時30分より15時30分にわたり、全国から54の団体が参加し、Zoomにより開催されました。
各団体からの提出議案は、ホームの内方線の敷設、道路の点字ブロックやエスコートゾーンの連続的敷設、災害が多発している昨今、ニュース速報の音声化と拡大文字化、誰もが使えるようにスマホ教室の充実とアプリの開発、セルフレジの音声化と人員によるサポート体制の確保、また進むデジタル化に対し障がい者が取り残されないよう、国や公共団体が率先して取り組むことなど、すべての議案が承認され、各省庁に陳情することが決議されました。
副会長 名取利一
生活分科会は去る4月15日(金)午後1時30分より実施されました。
山梨県からはかねてから要望事項として提案している、「重度心身障害者医療費助成制度の窓口無料化の制度化、現在課せられている並びに、自治体へのペナルティーとして課している国庫負担金の減額措置の撤廃を要望する。」を提案議題として提出しました。
また、各都道府県からの提案された議案には、各自治体における福祉課窓口の担当者について、視覚障がい者のニーズに合った人材の確保、専門性のスキルアップの向上を国から働きかけることなど。
同行援護に関しては、各自治体において事業所・並びに従事者の拡充によって地域格差の解消を図ること。同行従事者の資質の向上、支援適用範囲の拡充を図ること。
意思疎通支援事業「代筆・代読」を地域支援事業の必須事業にすること。日常生活用具の品目の追加・支給範囲の緩和を要望する。
養護老人ホームへの入所条件である措置要件等の見直しをするよう、各都道府県に国から働きかけること。視覚特別支援学校で多くのブラインドスポーツを出来る限り紹介する授業をすること。
など、私たち視覚障がい者が日頃から感じている、日常生活を送る上での困りごとや、不便に感じていることなど、45題が各都道府県から議案として提出され、全てが承認され本大会へ送られました。
部長 大野静香
感染者数が減少し、少しずつですが通常の練習を行えるようになった今シーズン。とはいえ、なかなか県外での公式戦の参加はできず、練習に来られるメンバーでひたすら頑張るのみでした。5月の連休明けには、晴眼のサポートスタッフがお仲間を集めてくれ、2年ぶりとなる試合が実現いたしました。久しぶりの実戦に、チームのメンバーは口々に「やっぱり試合はいい」と、心から楽しんでいたのがとても印象的でした。
先日5月29日には埼玉県久喜市にて、関東地区グランドソフトボール大会(全国大会予選会)が開催されました。3年ぶりの関東大会出場、久しぶりの公式戦、練習量・試合量からすると、あまり期待のできる状態ではありませんでした。しかし、今まで培ってきた経験、地力が発揮され、チーム山梨のメンバーは堂々たる戦いを魅せました。
初戦の千葉県は3対7、準決勝の埼玉戦は14対1で勝利。決勝は初戦シードで勝ち上がってきた神奈川県。30度越えの炎天下の中、2試合を戦った山梨メンバーは、神奈川県の若さとパワーを前に2対8で敗れました。
ここまで戦えるとは思いませんでしたが、ここまで戦えたからこそ、全国大会までのもう一歩が足りずに、悔しさの残る大会となりました。帰りのバスの中では、来年こそは全国へと、気持ち新たに頑張る決意をいたしました。これからもチーム一丸となって頑張っていきますので、応援よろしくお願いいたします。
会長 酒井夏美
山梨県では、現在16頭の盲導犬が活躍しています。全国で補助犬の健康に関わる助成事業が広まる中、山梨県では、2008年から県獣医師会様と全薬工業株式会社様のご協力により、盲導犬に対して、無料で混合ワクチン接種と感染症予防の駆虫薬が提供されるようになりました。
しかし、狂犬病予防接種に関わる費用の助成については、市町村により格差があり、ハーネス友の会では、要望書を作成し、ユーザーの住む市町村に対し、要望活動を行って参りました。
盲導犬は、ユーザーにとって社会生活に参加する上で、欠くことのできない存在であり、共生生活実現に大きく寄与するものです。盲導犬が、いつも健康で活動できるためには予防接種が必要不可欠です。このような趣旨を理解いただき、狂犬病予防接種に関わる費用について、徐々に助成を行う市町村が増えて参りました。
そして、今年から市川三郷町が助成を行うこととなりました。これで、ハーネス友の会のユーザーが住む市町村すべてで助成が行われることとなりました。盲導犬との歩行を希望する方が、金銭的な不安からそれを断念することのないよう、また、盲導犬が健康でユーザーと共に活躍できるための一助となるよう、今後も要望活動を継続して参ります。皆様、ご協力のほど、よろしくお願いいたします。
長方形の紙を折って折って折って・・・渦巻き状に組み合わせ鍋敷きを作ります。厚さ1cm、直径20pの世界に1つだけの手作り鍋敷きです。サンプルは生涯学習推進センターに置いてあります。
今月号が皆さんのお手元に届くころは、既に梅雨入りしていることと思います。気象庁の予報によると今年の梅雨は、雨が多いと予報されています。大雨災害には天気予報など最新の情報に耳を傾けましょう。
さて、今年の年末にかけて視覚アクセシビリティー関連で大きな動きが幾つかありそうです。その一つは、皆さんもご存じのように視覚障がい者向け歩行ナビシステム「あしらせ」の発売です。各地で実証実験が行われていて最終段階に近づいているようです。
二つ目は、持ち歩ける音響信号機アプリ「OKO」の正式リリースが予想されることです。OKOについて詳しくは、「うるおい」6月号をご覧ください。
そして三つ目の情報として次のような記事を見つけました。
Appleは米国時間5月17日、2022年中にリリース予定の新しいアクセシビリティー機能を発表した。その1つは視覚障がいがある人のための「ドア検知機能」で、目的地に到着した際に、ドアの位置を特定し、ドアまでの距離を理解するように支援するとともに、ドアが空いているのか閉じているのか、閉じている場合はドアを押すのか、ドアノブを回すのか、ハンドルを引くかといった情報を説明する。また、ドア検知機能ではオフィスの部屋番号や、利用できる入り口のシンボルがあるかといった、ドア周辺の看板や標識を読み上げられる。
ここまで三つの歩行支援システムを紹介してきましたが、この三つのシステムを併用することを想像してみてください。例えば甲府駅を出発点として岡島百貨店を目的地と仮定します。まず、「あしらせ」で目的地を岡島百貨店と設定し、スタートします。歩行ナビに従い、平和通りを南下して甲府警察署前交差点を左折します。この時、交差点付近に近づくと「あしらせ」が振動して左折するよう促してくれます。甲府警察署を曲がり、東方向に足を進めていくと甲府警察署東交差点が近づいてきます。
ここで音響信号アプリ「OKO」を起動し、青信号を確かめ横断歩道を直進します。左側の山梨中銀本店を過ぎると岡島百貨店に到着です。この時「あしらせ」は両足を振動させて目的地に到着したことを知らせてくれます。さて、岡島に到着したのですが入り口が分かりません。そこでiPhoneの拡大鏡アプリを起動して入り口の状況を教えてもらうのです。
いかがですか。この三つのシステムを併用するとこれまでに味わったことのない喜びがあると思いませんか。今からワクワクしてきます。
(事務局長 小林誠)
山視協だより 令和4年6月号
発行人 一般社団法人山梨県視覚障がい者福祉協会
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山梨県福祉プラザ1階
発行責任者 会長 堀口 俊二
編集責任者 事務局長 小林 誠
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FAX 055−251−3344
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