第110号 令和5年2月15日発行
一般社団法人山梨県視覚障がい者福祉協会会報
巻頭言 | |
---|---|
JR東日本との話し合いから | ・・・・・2 |
今後の予定 | |
令和5年度定期総会の日程と会場 | ・・・・・5 |
支部だより | |
峡南支部 | ・・・・・5 |
事務局よりお知らせ | |
「歌の広場」中止のお知らせ | ・・・・・5 |
県内初の高度化PICS信号機が稼働します | ・・・・・5 |
図書紹介 | ・・・・・6 |
編集後記 | ・・・・・6 |
「山視協だより」は赤い羽根共同募金の配分金により作成されています。
会長 堀口俊二
日脚も延び、ほんのり漂う梅の香が春の訪れを思わせるこの頃、皆さんお変わりありませんか。コロナもやや減少傾向、そろそろ落ち着いてほしいものですね。
さて、今月はコロナの影響で延び延びになっていたJR東日本との話し合い報告です。1月20日に実施し、JR側から5人、本会からも歩行訓練士の金山さんを含めた5人が出席しました。以下に本会からの要望とそれに対する回答を記します。
以上ですが、今回強く感じたのが無人駅の増加やみどりの窓口廃止など、人員削減の弊害です。特に、みどりの窓口の廃止は私たちにとって大変由々しき事態です。健常者がスマホで手軽に切符を買えることから考えれば、利便性の悪化は不当な差別と言っても過言ではありません。日視連を通じて対応策の充実を強く求めていく必要性を痛感しています。
また、踏切の誘導ブロック敷設はほとんど手つかず状態であり、関係方面への強力な働きかけが急務です。鉄道は私たちの重要な移動手段です。今後も、皆さんとともに安全性と利便性向上に向けた要望活動を粘り強く進めていきましょう。
令和5年度定期総会の日程が4月23日(日)に決まりました。会場は、県立図書館1階のイベントスペース西です。会員の皆様、ぜひご出席をお願いいたします。また、当日の午後は、福祉機器展も計画していますので併せてご参加ください。
支部長 大窪誠
峡南支部の支部長の大窪です。
令和4年度においては、コロナ感染対策としての活動自粛により残念ながら一切の支部活動を休止しております。昨年度には、当支部活動に長年に渡りご尽力頂いた会員様がご高齢を理由に退会され、寂しい限りでしたが、本年度半ばに1名のご加入を頂き、現在の会員数は6名となりましたことをご報告させていただきます。
コロナ前までライトハウスを会場で行っていました歌の広場ですが、コロナが収束しませんので、大変勝手ですが中止させて頂きます。今まで皆様のご協力に感謝申し上げます。ありがとうございました。
(内海)
3月1日午前10時より、防災新館西の平和通り信号が県内初の高度化PICS信号機に対応します(スマホ音声信号機)。これにより、スマホを使えば24時間音声による横断が可能となります。
立春を過ぎ、少しずつ日差しの強さが増しているのを感じられるようになりましたね。風のない日は外出したくなる日もすぐそこまで来ているようです。そこで今月は、視覚障がい者の外出を手助けしてくれる「AIスーツケース」の実証実験が東京お台場で行われた記事を紹介します。
注目したのは視覚障害者を目的地まで自動で誘導することができる、“スーツケース型”のロボット。東京都の小池百合子知事も体験し、「安心して(目的地に)行けると思います」と性能について語りました。一体、スーツケースがどのように目的地まで誘導するのか? なぜスーツケースなのか? 取材しました。
・視覚障害者のための“道案内するスーツケース”を体験
まずスーツケースの持ち手の部分にあるボタンを押すと、スーツケースがひとりでに目的地の方向へ回転。自動で動き出し、導いてくれます。誘導されながら歩いていると、「左側、産業技術総合研究所」「点字ブロックがあります」という音声が聞こえ、どのあたりを歩いているか、先に何があるのかを認識することができます。前から歩いてきた人がいると、「人をよけました」という情報も教えてくれました。一度持ち手から手を離してみると、スーツケースは自動的にストップ。“強く引っ張られている”という感覚はなく、自然な速度で誘導され、目的地に到着できました。
■「AIスーツケース」その機能とは
このロボットの名称は「AIスーツケース」。現状、通常のスーツケースのように荷物は入りませんが、以下のような機能が備わっています。
・内蔵されたAIが自動で最短経路を検出し、行きたい目的地まで案内
・上部に360度センサーがあり、周囲の障害物を検知してよける
・手を離すとセンサーが検知して動きが止まる
・ボタン1つで歩く速度に合わせてスピードが調整できる
・位置を推定し、建物や店舗の情報を読み上げる
これまで屋内でのナビゲーション実証を何度も重ね、今回初めて屋外で走行実験を実施(※現在の道路交通法では、目が見えない人は公道では白杖または盲導犬を連れる必要あり)。日本科学未来館の高木啓伸副館長は、「“私は駅に行きたい”など、目的地を音声でロボットに伝えて、連れていってくれる。人の言葉がわかるというのもロボットの良さだと思います。逆に、大きな段差や階段をのぼるなどは運動能力に優れた盲導犬が適しています。これからは適材適所で、いろんな技術を使って障害者の
行動範囲を広げていければ」と、語りました。
■思いついたきっかけは“1人での出張”
この「AIスーツケース」のアイデアを生み開発を進めたのが、日本科学未来館の館長で、IBMのフェローなども務める浅川智恵子さんです。浅川さんは、中学2年生の時に失明。
“スーツケース型”にしたのには、日常での経験がきっかけだったといいます。
――AIスーツケースのアイデアを思いついたきっかけは?
1人で出張することが多いんですけれども、空港で白杖とスーツケースを一緒に持って歩いていると、両手が塞がってしまってすごく大変だと思うことがあって。白杖をしまってスーツケースを前に出して歩いていると、何か障害物があったらスーツケースがぶつかってくれる、割と役に立つなと思って。それがきっかけとして「じゃあこのスーツケースの中に、モーターやコンピューター、様々なセンサー、デバイスを搭載すれば、私の新しい旅のお供になるんじゃないかな」って考えたのがきっかけです。
■メリットは“違和感がなく街の中に溶け込める”
――“スーツケース型”であることのメリットは?
周囲の人が見た時に、“違和感がなく街の中に溶け込める”というメリットがあると思っています。“特殊な機械”ではなく、一般の生活者も使っているものと同じものであるいうことで、周囲に受け入れられる可能性がすごく高いと思っています。
ただ一方で私がいろんな場所で実験をしていても、周囲の人が私が視覚障害者であるということに全く気づかない。なので今後の課題は、視覚障害者であるということを周囲が知る必要がある時に、どういうテクノロジーを使えばそれを実現できるのかを今、並行して議論を始めているところです。
――そのデメリットをどう解決しようと考えていますか?
周囲が混雑している時などにはAIが判断して音を出す、ということも考えていきたいと思っています。あと、まだアイデアベースなんですけど、“光”ですね。視覚的に注意をひけるような光を出すとか、スーツケースの色に特徴を持たせて(視覚障害者のためのAIスーツケースだと)知ってもらう時の参考にするとか。そういった技術やアイデアを取り込んで、“知ってもらえる工夫”をしていきたいなと思います。
――白杖とAIスーツケース、歩く時の“感覚の違い”は?
白杖で歩いていると「段差があるな」とか「階段があるな」とか、常に自分の一歩先に集中して歩きます。曲がった時にはなるべく早く修正しないと、例えば四つ角などでは危険もある。まっすぐ歩く、物にぶつからない、道に迷わない…これを常に考えながら歩かなくてはいけないんですね。
ただ、ロボットと一緒であれば、それら全てを考えなくていいんですね。目的地だけ入力すると、あとは任せて付いていけるので、「今日は寒いな」とか「あっ、鳥が鳴いているな」とか、「あっちでいい匂いがするな」とか。さっきは「子供たちがいっぱいいるな。何してるんだろう?」とか、“周囲の音”や“匂い”や “風”。そんなことを感じながら歩けるので、“新しい体験”ができるようになったなと思っています。
――これまでの実験で視覚障害のある当事者が使った感想は?
「スーツケースに私の盲導犬の名前をつけてもいい?」とか、「これはかなり使いやすい。このまま持って帰っていいですか?」とか、すごくうれしいコメントをいただいています。あと、(AIスーツケースを使って)ショッピングをしていて、スーツケースを持っていると周囲から見て自分が目立っているという意識が全然ない、街に溶け込んで自分がゆったりと買い物をできているのが感じられて「すごく快適だった」というコメントもいただいています。
ただ、ユーザーの方からは次から次へといろんな希望がきます(笑)。 なので研究者としては、一つ一つできるところから取り組んで、さらに機能強化していきたいなと思ってます。 以上
いかがでしたか。こんな「AIスーツケース」が手元にあったらなあ。と思いますよね。一日も早い実用化を願うばかりです。
(事務局長 小林誠)
山視協だより 令和5年2月号
発行人 一般社団法人山梨県視覚障がい者福祉協会
〒400−0005 山梨県甲府市北新1−2−12
山梨県福祉プラザ1階
発行責任者 会長 堀口 俊二
編集責任者 事務局長 小林 誠
電話 055−252−0100
FAX 055−251−3344
http://yamashikyo.sakura.ne.jp