第114号 令和5年6月15日発行
一般社団法人山梨県視覚障がい者福祉協会会報
巻頭言 | |
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第76回全国視覚障害者福祉大会(奈良大会)報告 | ・・・・・2 |
行事報告 | |
生活分科会報告 | ・・・・・3 |
バリアフリー分科会報告 | ・・・・・4 |
職業分科会報告 | ・・・・・5 |
日視連弱視部会について | ・・・・・7 |
タクシー協会との話し合いの報告 | ・・・・・8 |
今年度各専門部メンバーの紹介 | ・・・・・9 |
今後の予定 | |
環境調査について | ・・・・・9 |
支部だより | |
甲斐支部 | ・・・・・10 |
トピックス | |
おめでとうございます! | ・・・・・10 |
事務局からのお知らせ | |
第49回視覚障害者文芸大会参加者募集 | ・・・・・10 |
「私もひとこと」の原稿募集のお知らせ | ・・・・・11 |
「バリアフリー映画上映会」開催のお知らせ | ・・・・・11 |
チラシで作るエコなべしき | ・・・・・12 |
編集後記 | ・・・・・12 |
「山視協だより」は赤い羽根共同募金の配分金により作成されています。
会長 埜村和美
標記大会は5月21日(日)と22日(月)の両日、日視連と奈良県視覚障害者福祉協会の主催により、会場参加とライブ配信で開催されました。
1日目は、「踏切と横断歩道の安全を考えるシンポジウム」がおこなわれ、令和3年と4年に静岡県と奈良県で発生した視覚障がい者の踏切内での死亡事故を検証し、2度とこのような痛ましい事故を起こさないために、このシンポジウムが企画されました。
始めに、日本歩行訓練士会の古橋友則会長による、「静岡・奈良での視覚障がい者踏切事故と、道路横断を含めた日本歩行訓練士会の取り組み」と、国土交通省道路局企画課大西良平課長補佐による「国土交通省が進める安全対策について」と題した、基調報告がおこなわれました。
その後、コーディネーターとして慶応義塾大学経済学部中野泰志教授と、登壇者として奈良県視覚障害者福祉協会の役員を加え、パネルディスカッションがおこなわれました。登壇者からは、踏切や横断歩道利用時に危険な思いをした体験が述べられ、講師とともに安全対策を探るための、熱い討論の場となりました。
最後に、視覚障がい者が踏切と道路を安全かつ安心して横断できることを実現するための「奈良宣言」が、拍手をもって採択されました。
その後15時20分からは、会場参加とオンラインによる団体長会議が開催され、令和5年度の運動方針(案)及び団体提出議案について審議がおこなわれました。
また協議事項として、ガイドヘルパーの必要性を知ってもらいヘルパーの担い手確保につなげるため、改正障害者自立支援法が成立した12月3日を「視覚障がい者ガイドヘルパーの日」とし、12月3日から公布された10日までをその記念週間として、働きかけていくことを進めていきたい旨の説明がありました。
翌22日は会場参加とライブ配信により、大会式典と議事がおこなわれました。式典中日視連顕彰表彰式において、本会の堀口俊二前会長が礎賞を受賞されました。おめでとうございます。そして令和4年度決議処理報告と、令和5年度運動方針を執行部の原案通り、全会一致で可決されました。続いて宣言案・決議案もすべて採択され、2日間の大会を無事終了しました。
来年第77回の全国大会は、令和6年6月2日と3日、熊本県で開催される予定です。なお全国大会に先立ち3つの分科会が4月におこなわれましたが、これらにつきましては担当者が報告します。
副会長 名取利一
生活分科会は、去る4月12日(水)午後13時30分から16時にかけて開催されました。
主に出されていた提案議題の内容は、同行援護等に関連した中では、同行援護制度の地域格差の解消と制度の充実を図ること。公共交通機関の不便な地域において同行援護従業者の車の利用を認め、移動・待機時間を報酬算定の対象に加えること。意思疎通事業である代読・代筆を同行援護と併せて利用できるようにすること。日常生活用具に関しては、拡大読書機等の価格が高騰していることを踏まえ、日常生活用具の基準額を見直すよう、国から各自治体に通達等を働きかけること。手帳に関しては、1日も早く、眼球困難症を身体障害者手帳の認定基準に加えること。医療に関しては、入院中に居宅介護等のヘルパーを利用できるようにすること。高齢者問題では、老人ホームへの入居を希望する際の措置要件等の見直しをすること。教育に関しては、視覚特別支援学校の教育の中にブラインドスポーツを紹介・体験する授業を実施すること。などが主な提案議題として提出されていました。
山梨県からは、「重度心身障害者医療費助成制度について、窓口無料化等を実施する自治体へのペナルティーの撤廃をすること。並びに窓口無料化を法制化すること」を議題として提出しました。
この議案に関しては、他の複数の団体の中でも議題として出されているようです。しかし、一番の問題点は、国から交付される助成金に対し、ペナルティーとして課せられる減額割合が多額となり、地方の大きな負担となる結果に結びつきます。よって「あきらめざるをえないのではないでしょうか」という声がありました。また、我が山梨でも感じられていることですが、償還払いに戻し、ペナルティーとして課せられていた金額を福祉制度に活用するという事になっているが、「何に活かされているか全く判らない」という報告も出されていました。
以上の内容で、様々な分野から提案された議題に対し、活発な意見交換が行われ、全ての議案が採択されたことをここに報告します。
会長 埜村和美
バリアフリー分科会は、第76回全国大会に先立ち、4月13日にオンラインで開催されました。以下に、主だった要望について述べさせていただきます。
まず交通関係として、点字ブロック・音響信号機・エスコートゾーンの安全な連続性を持った道路環境の確保、全国に増えつつある「高度化PICS」信号機のアプリについて、視覚障がい者に使いやすいものを開発すること、踏切内の視覚障がい者の安全歩行については、自治体と警察、国土交通省が協力してすすめてほしいとの要望が、承認されました。
また無人化が進む駅に対し、視覚障がい者の安全を守るための駅員の常駐や、ホームの内方線敷設が要望され、これも承認されました。視覚障がい者に対する合理的配慮を普及させるため、国は公的機関の窓口・金融機関・交通機関・医療機関・飲食店・宿泊施設・商店等に区分した事例を集め、これらの機関に対して周知徹底が促進される中、各店舗で多くなってきたセルフレジに対し、音声対応や人員配置、飲食の注文時のサポート体制の確立など、視覚障がい者が生活しやすい配慮への要望が、承認されました。
本会から提出した、緊急時のテレビ字幕の音声化と拡大文字化については、8団体から同様の要望があり、総務省の検討委員会に、日視連も加わっていて共に研究しているとの回答がありました。また頻発する災害に対し、視覚障がい者にも利用可能な音訳版、点訳版、テキストデータ版、触地図等のハザードマップを、早急に本人の居住する自治体より配布してほしいとの要望は、拍手をもって承認されました。
堀口俊二
4月14日(金)、須藤あはき協議会会長、大橋理事を座長にオンライン方式で行われました。重度障害者等就労特別事業普及・充実に関するものが5題と最も多く、この事業への関心と期待の大きさを感じました。これに関し竹下会長から、「現在29自治体で実施しており、好事例を集約し、事例集として情報提供できるよう努力したい。従業者研修の実施を是非厚労省に持ち掛けたい。各自治体から、国に対し要望がないので実施していないとの報告が多い。まず、各団体からの要望が大事。」とのコメントがありました。
健康保険証を紐づけたマイナンバーカードを視覚障がいあはき自営業者にも読み取れる端末開発をという要望が2題あったのも特筆すべき点です。これに関しては、事務局から「厚労省が予算を組んで端末開発中で、実証実験も行っている。総務省・デジタル庁も加わって意見交換が行われており、日視連でも今年度の重要課題と位置づけ要望に沿うように運動していきたい。」とのコメントがありました。
あはき法におけるあん摩マッサージ指圧、はり、きゅうの定義を明確にとの要望に関しては、竹下会長より「厚労省広告検討会の中で、有資格者と無資格者の区別をはっきりさせるよう努力中であり、経産省の産業分類のあり方などでも常に課題になっている。」との報告がありました。
本県が提案し、関ブロ協からの提出議題ともなった官公庁など公的機関でのヘルスキーパー雇用促進をという要望も、他の複数の団体からも同時提案され、その実現を目指し精力的に取り組んでいくことが確認されました。
このほか、あはき以外の就労関係も含め、提出議題16題が一部修正の上すべて採択され会を閉じました。
吉村圭子
日視連弱視部会は、「弱視者(ロービジョン)の日常生活及び社会生活における困難を解決するとともに、全盲や弱視(ロービジョン)の区別なく視覚障がい者が安心して暮らせる社会の実現を目指すことを目的として活動する」ため組織された会です。
委員総会、オンライン意見交換会、研修会などの活動をしており、今までの意見交換会等の資料(困りごと事例集)が日視連のホームページに掲載されています。
山視協からは委員として吉村が参加しています。今後、これらの会での情報を積極的に皆さんにお伝えしていくつもりです。反対に弱視部会に対する皆さんからの要望や意見をあげていきたいと考えています。どうぞよろしくお願いします。
「弱視者の困りごと事例集」は現在第6号まで出ています。各号のテーマは以下の通りです。ご自身、または見え方で困っている方が周りにいたら役立ててください。
副会長 小田切浩子
今年の4月1日から山梨県の国中地域で、タクシーの初乗り料金が600円に変更となりました。会員の中から、タクシー利用時にタクシー券を使おうとしたら、初乗りが600円になったので、券は600円として計算しますと言われたとの報告がありました。本来はタクシー券に記載されている金額の助成を受けることができます。
5月10日に山梨県タクシー協会との話し合いを行いました。本会からは正副会長、タクシー協会からは会長をはじめ3名が出席しました。先ずタクシー協会へ加盟会社に、利用券の取り扱いを正しくしてもらうように伝えていただくよう要望しました。
タクシー協会としては、加盟会社には各市町村から出されているタクシー券の写真と取り扱いについての書面が配られている。運転手さんが把握していないケースもあるので、不当な料金を請求され支払ってしまったら領収書をもらって、直接タクシー会社に伝えてくださいとの事でした。基本的にはタクシー協会加盟会社はタクシー券利用可能です。福祉タクシーについては自治体と契約を結んでいる会社で使うことができます。
次にタクシーを呼んでも、待ち時間が長かったり、予約も受け付けてもらえない事態が増えているので改善してもらいたい旨を伝えました。
これについてはコロナ禍で、高齢の運転手さんが辞めてしまった会社が多く、募集をかけてはいるが運転手不足の状態が続いている。それと車両も部品がなくて不足していることも原因していることをご理解くださいとの事でした。
公共交通機関の貧弱な本県の視覚障がい者にとって移動手段としてのタクシー利用に支障が出てきているのは大きな問題です。みなさんの居住地での移動手段についての取り組みなど、情報共有をして利便性を高めていく方法を考えていきましょう。
福祉部 角田政樹
5月号の「山視協だより」で皆様にお伝えした環境調査についてですが、調査場所は、甲府駅近くのモスバーガー甲府駅前店・セブンイレブン丸の内2丁目店のレジ。イオンモール甲府昭和の食料品売り場・山梨市のベイシア(春日居駅から徒歩15分以内)のレジです。
※会員の皆様にも是非参加していただきたいと思います。尚、参加人数は先着10名までとさせていただきます。希望される方は福祉部部長角田政樹まで連絡をお願いいたします。
メール masaki-0408@ezweb.ne.jp
電話 090-1848-7091
支部長 堀口俊二
5月14日に総会を開き、今年度事業計画や市等への要望内容について話し合いました。事業に関しては、ここ3年コロナのため親睦研修会など全く実施できなかったので、今年こそはと意気込んでいます。内容はまだ検討段階ですが、対面での楽しい事業ができればと考えています。
要望に関しては、今年もタクシー券の複数枚利用や道路環境の整備、日常生活用具品目の充実など会員からの声を関係機関に届けます。また、市の広報誌に本会活動内容を紹介するなど、会のPR活動も検討中です。
まだコロナの不安が残る中ですが、以前のように対面での活動が何の気兼ねもなく行える1年になればと願っています。
「山視協だより」をリニューアルします。7月号から「私もひとこと」という新しいコーナーを作ります。読者の皆様にお知らせしたいことや日常生活で感じたことなど皆で共有できる話題を募集します。お気軽に書いてみてください。
障がいの有無にかかわらず、どなたにも鑑賞いただけるよう日本語字幕と音声ガイドの付いたバリアフリー映画上映会を開催します。1回目は7月16日(日)下吉田にて、2回目は7月23日(日)甲府にて。時間はいずれも13時から16時までです。ご参加は事前予約制です。お気軽にご参加ください。
皆様こんにちは、会員の山内美和です。講座のお誘いです。
皆様の参加をお待ちしております。
この原稿がお手元に届いているころには、関東甲信地方も梅雨入りしていることと思います。今月2日から3日にかけて、台風周辺の湿った空気の影響で梅雨前線の活動が活発となり、四国から東海にかけて線状降水帯が相次ぎ発生。各地に災害を与えたことは皆様も記憶に新しいことと思います。そこで気になるのが自分の住んでいるところは果たして安全なのかということです。
そんな時、役に立つのが「ハザードマップ」ですが、これまでは国土交通省のホームページが音声読み上げには対応しておらず、不便を感じていた人も多かったと思います。
しかし、先月30日からやっと音声読み上げに対応するようになりました。以下は、東京新聞の5月30日の記事です。
国土交通省は30日、洪水や土砂災害などの災害リスクを地図上に表示する「ハザードマップポータルサイト」を刷新した。文章を音声で読み上げるソフトに対応し、視覚障がい者が利用しやすいようにした。
同サイトは洪水や土砂災害、高潮、津波のリスクを地図に重ね合わせて表示することなどができる。2007年度に初めて公開した。
音声読み上げソフトと組み合わせることで、画面が見えなくても操作しやすいようにデザイン。住所を入力すれば、その場所で想定される洪水や津波の浸水深といった災害リスクに加え「早期の避難が必要」などと取るべき行動が表示され、音声でも聞くことができる。
リニューアルされた「ハザードマップポータルサイト」についてはこちらを参照ください。
https://disaportal.gsi.go.jp/
(または「ハザードマップ」で検索してください) 以上。
リニューアルされた「ハザードマップポータルサイト」はここからどうぞ
最近の雨の降り方は以前とは比べ物にならない。これまでのひと月の総雨量を数日で越えてしまうというのですから尋常な降り方ではありません。この機会に自分の住んでいる地域の危険性を知って、避難所の確認や災害の備えについて考えておきましょう。
(事務局長 小林誠)
山視協だより 令和5年6月号
発行人 一般社団法人山梨県視覚障がい者福祉協会
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山梨県福祉プラザ1階
発行責任者 会長 埜村 和美
編集責任者 事務局長 小林 誠
電話 055−252−0100
FAX 055−251−3344
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