第124号 令和6年4月16日発行
一般社団法人山梨県視覚障がい者福祉協会会報
巻頭言 | |
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関東ブロック千葉県大会を終えて | ・・・・・2 |
行事報告 | |
各分科会報告 | |
生活分科会 | ・・・・・2 |
バリアフリー分科会 | ・・・・・4 |
職業分科会 | ・・・・・4 |
女性分科会 | ・・・・・6 |
青年分科会 | ・・・・・7 |
第4回役員会報告 | ・・・・・9 |
令和5年度音響式信号機の新設・更新箇所について | ・・・・・9 |
今後の予定 | |
令和6年度バリアフリー要望箇所について | ・・・・・11 |
令和6年度第1回環境調査について | ・・・・・11 |
支部だより | |
都留支部 | ・・・・・12 |
事務局よりお知らせ | |
令和6年度定期総会と研修会 | ・・・・・13 |
編集後記 | ・・・・・5 |
「山視協だより」は赤い羽根共同募金の配分金により作成されています。
会長 埜村和美
第58回日本視覚障害者団体連合関東ブロック協議会千葉県大会は、3月3日(日)、4日(月)の2日間にわたり、TKP東京ベイ幕張ホールを会場に、出席者400名が集い開催され、本県からは付き添いを含む10名が参加しました。
大会スローガンとして掲げられたのは以下の通りです。
3日の式典の後の埼玉県深谷市のひとみ園施設長・茂木幹央氏による基調講演がおこなわれました。続く、生活・バリアフリー・職業の分科会では、各団体から提出された議題に対し、活発な審議がなされました。青年・女性の分科会では、それぞれ研修会がおこなわれました。
4日の全体会議では各分科会の報告と、第77回熊本大会への提出議題が発表されました。そして竹下日視連会長による日視連情勢報告では、拡大読書機などの価格の上昇による各自治体への基準額引き上げ要請についてや、就労移行支援事業の経過報告などがありました。鈴木ブロック長からは、関ブロ令和5年度の事業が報告されました。そして宣言案・決議案が読み上げられ、拍手をもって採択されました。最後に次期開催団体である茨城県の代表より、来年1月18日から19日の開催案内があり、全日程を終了しました。各分科会報告は、担当者より報告します。
埜村和美
各団体からの提出議題をまとめると、
本会からは、重度心身障害者医療費の窓口払いの無料化制度の法制化並びにこの要件に課されているペナルティーの撤回を要望しました。
1については、公共機関の貧弱な地方において、福祉有償サービスは欠くことのできないサービスであり、それに伴う支援者の増員や、同行援護の自己負担額算出は、利用者のみの課税額を対象とすることが要望されました。また同行援護における支給量の地域格差については、自治体の財源確保だけに目を向けがちだが、視覚障がい者が自立して生活していくためには、通勤・子育て・介護等における移動など、時間数が必要であることも要望されました。
2については、視覚障がい者の日常生活用具や補装具の価格が高騰している一方、支給限度額が据え置かれているため、自己負担額が増す結果になっているので、価格にあわせて支給限度額の見直しと、日常生活用具の耐用年数の見直しが要望されました。
3については、ICT技術の急激な進歩により、スマートフォンが生活に大きな役割を果たすようになったので、日常生活用具としてぜひ認めてほしいとの要望でした。
4については、生活にICT化の波が押し寄せている昨今、代筆代読を含めた新しい生活へのサポートを提供できるよう、支援者の資質の向上が要望されました。
第77回全国大会への提出議題としては、埼玉県から提出された、「同行援護自己負担算出は、利用者のみの課税額を対象とするとともに、負担額の上限区分を細分することを要望します。」が採択され承認されました。
三尾麻美
バリアフリー分科会では様々な議題が出た中から大きく2つの議題に絞り、話し合いをしました。一つ目は、情報保障についてです。買い物の際や飲食店などセルフレジによるタッチパネルの操作やマイナンバーと保険証の紐付けに関して操作のアテンドの必要性、また読書バリアフリー法の制定に伴い更なるデイジー図書の普及の推進の議題が出ました。
もう一つは、移動に関してです。狭い道の横断歩道にも点字ブロック等の敷設、バス停でのバスの行き先などの明確なガイダンス、バス停がわかるような点字ブロックの敷設と様々な意見が出されました。
その中で、駅の券売機やその他のタッチパネル操作に音声ガイド付きまたはテンキー操作のできる簡単なシステムの導入や、全ての鉄道会社にホームドア設置を進めてもらいたいとの意見が出ました。そして山梨から提案を出しました、「全ての駅への内方線付点字ブロックの敷設を要望する」が全国大会提出議案として選ばれました。
名取利一
職業分科会は、1都7県から参加者45名、座長に千葉県視覚障害者福祉協会の中野様、副座長に茨木県視覚障害者福祉協会の稲田様、助言者に関東ブロック協議会の職業分科会担当の関谷様によって執り行われました。議題は10題が出され、大きく4つに区分けし、関東ブロックとしての提出議題が話し合われました。
まず初めは、「無資格マッサージの取り締まり強化を要望する(埼玉県)」です。
2番目は、雇用関係に関する提案で、山梨県から提出された議題もこの中の一つに含まれています。「視覚障がい者の雇用拡大のため、国や地方公共団体等の公共施設において、ヘルスキーパーの雇用を含めた視覚障がい者の積極的な雇用を取り組むよう働きかけてほしい(栃木県・神奈川県・山梨県)」です。
3番目は、就労支援に関する議題です。「視覚障がい者の就労支援のため、職域拡大を目指した訓練施設の充実・人材確保、ジョブコーチ等を含めた雇用されている視覚障がい者への職場介助者の充実を図っていただきたい(千葉県・千葉市・東京都・横浜市・川崎市)」です。
「最後は、「重度障害者等就労支援特別事業」です。通勤・営業活動に係わる移動については、同行援護事業では認められていませんが、当該事業では支援が可能となっています。」
しかし、当該事業は、市町村による「地域支援事業」の任意事業となっているため、利用可能な自治体は少ないのが現状です。全国の市町村で実施されるよう、「地域生活事業」の必須事業にするよう要望する(茨城県)ことになりました。
以上が主な提案議題となりますが、これらの提出議案に対し、助言者の関谷様から、雇用関係の議題に対しては、地方公共団体等や事業所でのヘルスキーパーの雇用促進するのも望むところではあるが、介護施設等での雇用を働き掛けていくのもこれからは必要ではないか。就労支援に関した議題に対しては、企業等の事業所に勤務する視覚障がい者に対しては、ジョブコーチという支援制度があり、雇用保険によって行われている。よって、雇用関係がない自営業者に対してはこの制度は適応されていない。しかし、ジョブコーチという制度の代わりに自営業者に対しては、「重度障害者支援」により包括などで対応するようになっているが、現状は経済的な問題や、利用者が少ないなどの理由により実行されていないのが実情だとの話がありました。
これで全ての議題の提案理由や質疑応答が終わり、全国大会に提出する議案を選択するという事になり、数人の出席者から座長の中野様・副座長の稲田様・助言者の関谷様に一任するという声が上がり、承認され、分科会は終了となりました。
山梨県から関東ブロック大会に提出された議案は、「視覚障がい者の雇用拡大のために、国の機関や公的機関、民間企業にヘルスキーパーの雇用を促すよう、積極的な取り組みを要望する」です。
小笠原恭子
女性分科会ではNPO法人成年後見なのはな理事の菱沼正氏を講師に迎え「初めて学ぶ成年後見」という演題で講演会が行われ、73名が出席しました。
後見制度には、本人の判断能力が不十分になった後に家庭裁判所によって選任された後見人による法定後見と、本人が十分な判断能力を有するときに予め後見人になる方と契約しておく任意後見があります。
法定後見には、通帳の管理や費用の支払い、役所や金融機関などの届け出、自宅の管理(庭木のせん定や除草)、被後見人の見守り・健康チェックなど生活すべてを担う後見と、金銭の管理だけを行う補助、その中間の補佐の3段階があります。費用は1年間の支援内容と被後見人の支払い能力によって裁判所が決定します。
任意後見は後見人を自分で決定し、公証役場で契約書を作成します。自分に支援が必要になっているかを判断してもらうために定期的に訪問してもらう見守り契約を合わせて結んでおくのが一般的で、費用も予め両者の合意で決めておきます。
成年後見についてなんとなく知っている程度でしたが、事例を交えたわかりやすい講演で、内容を整理して理解することができて勉強になりました。
実は最も興味深かったのは、講師の菱沼先生が千葉の盲学校に勤務されていた時、寄宿舎で生徒とお風呂に入っていて、シャンプーとリンスが分らないということを聞いたそうです。先生の友人が花王の技術部にいらして、生徒と試作品の検討を重ねた結果、現在のシャンプーのギザギザが商品化されたという話だったりします。
小林誠
青年部会は、12団体44名の参加で講演会形式で行われました。
講師に合同会社Coaching4U代表 渡邊佑氏を迎え、「職業人生をよりよく生きるためのマインドの上手な使い方 〜あなたの可能性を引き出す脳と心の使い方〜」という演題でお話を伺いました。
講演の内容を5つのポイントにまとめると
事務局長 小林誠
第4回役員会を3月17日(日)に地域づくり交流センター4階大会議室においてハイブリッド形式で行いました。埜村会長のあいさつに続き、早速議事に入りました。
定期総会が1か月後に近づいているため、主な議題はこの準備に多くの時間を費やしています。初めに令和5年度の事業報告と決算報告が事務局から報告され、承認されました。
次に定款の一部変更について取り上げています。変更点は2つあり、その1つは、役員会の案内通知を現在、1週間前とあるが5日前に変更したい点。もう1つは、議事録証明の部分にある署名、押印するとあるが記名でもよいことにしたい。この2点ですが、定款変更には、全会員の3分の2の賛成が必要になるため、ぜひご協力をお願いしたいと思います。
次の議題は、会員名簿の更新とプライバシーポリシーについて事務局より、提案がありました。現在の会員名簿は、最新の状態に更新する必要があり、そのためには、個人情報保護に関する規定が必要になることが法律で定められていると説明がありました。定期総会においても同様の説明があるそうです。
次に賛助会員の個人会費の金額を現在5千円から、3千円に引き下げて賛助会員を増やしつつ、ボランティア募集も本会のホームページやリーフレットで呼びかけたらどうかとの提案が事務局からありました。これについては、定期総会で同意を得たいと思います。
次に次年度の運動方針案の変更点が埜村会長から説明されました。要点は3つあり、これまでのタクシー券に加え、デマンドバスやライドシェアが各市町村に普及してきているが、視覚障がい者にも使いやすいシステムになるよう要望してゆきたい。2つ目は、福祉避難所の設置を着実に進めるように要望してゆきたい。3つめは、甲府市和戸町に完成予定の「パラスポーツセンター」を視覚障がい者にも使い勝手の良いものにしてほしい。これらの点が運動方針に加えられています。事業計画については、ほぼ今年度と同様ですが、広報活動として新しい試みも取り入れることを検討したらどうかとの意見がありました。
次に総会終了後のイベントについて説明があり、第1部JR職員による踏切内の緊急時の対応、第2部各種白杖の展示と白杖歩行の質問コーナーについて司会進行は、小笠原理事と決まり、準備を進めることとなりました。
以上が第4回役員会のあらましです。
福祉部部長 角田政樹
例年通り、県道路管理課・県警交通規制課に対し、要望活動を行います。各支部長さんは、点字ブロック・エスコートゾーン・音響式信号機の新設・改修箇所等を取りまとめ、5月末までに福祉部部長(角田政樹)まで提出をお願いいたします。
携帯 090-1848-7091(勤務中は電話が取れないため折り返し連絡になります。)
メール masaki-0408@ezweb.ne.jp
福祉部部長 角田政樹
皆さんこんにちは。福祉部です。6月中旬あたりに、第1回環境調査を実施します。本年度も昨年同様、会員様からの要望箇所を会員様とともに調査したいと思います。第1回は生活バリア(セルフレジ等)について調査したいと思っております。ただ、交通バリア(点字ブロック・エスコートゾーン等)について困っている方があるならば、そちらでも構いません。是非、要望の方よろしくお願いいたします。
要望先 090-1848-7091(角田携帯)
※勤務中は電話が取れませんので折り返し連絡になります
要望締切 4月30日(火)
支部長 相澤幸雄
4月21日(日)10時より定期総会、午後は研修会が行われます。お手元に総会資料が届いていると思いますので、参加される方は資料と同封のハガキ(委任状)をお持ち下さい。ハガキは書き損じハガキにします。
また、能登半島地震被災視覚障がい者支援のための募金箱も用意致しますのでご協力をよろしくお願い致します。
訃報 南アルプス支部の伊東一敏様が2月23日
支部外の小林文雄様が3月6日に
逝去されました。謹んでご冥福をお祈りし、ご報告申し上げます。
新年度を迎え、4月から私たちの暮らしを取り巻く様々なものやことが新しくなりました。今回は、4月1日から改正法が施行された「改正障害者差別解消法」について書いてみます。障害者差別解消法は、その名の通り、障がいのある人が生活をしていく中で、行政や企業、店などから不当な差別を受けたり、サービスに制限がかけられたりすることを防ぎ、「共生社会」の実現を目指すものです。2013年に制定され、2016年に施行されました。
内閣府がおととし11月に18歳以上の1,765人を対象に行ったアンケート調査では、知っていると答えた人は24%、知らないと答えた人は74.6%と、まだまだ認知が広がっていないのが現状です。
柱となるのはふたつの項目で、「不当な差別的取り扱いの禁止」と「合理的配慮の提供」です。不当な差別的取り扱いについては、行政機関や民間事業者ともに禁止していて、 合理的配慮の提供については、行政機関は義務、一方で民間事業者に対しては努力義務という位置づけでした。不当な差別とは、「障害のある人が正当な理由なくサービスの提供を断られたり入店を拒否されたりすること」。一方、合理的配慮の提供とは、「障害のある人が社会の中にある障壁を取り除くため何らかの助けを必要としている旨伝えられた際に、負担が重すぎない範囲で対応すること」となります。
そして、1日から施行された改正法では、合理的配慮の提供について、民間事業者がこれまで努力義務だったものが、義務付けされることになりました。
事業者は、できるだけニーズにこたえるべきではあるのですが、すべての要望に応える必要があるのかというと、必ずしもそうではありません。合理的配慮の提供は「事業者の業務の負担が重すぎないもの」に限定されます。
例えば、飲食店で食事の介助を依頼されたとしても、断ることは法律に違反しないとされます。ただ、漠然とした理由で対応しないことは避けるべきだとしています。そのために必要なのが、「建設的な対話」とされています。
要望に100%応えることはできなくても、何か折衷案はないか、当事者と事業者同士しっかりと話し合うことが求められます。
違反するとただちに罰則があるわけではありませんが、対話もせず、適切な対応をしなかった場合、当事者が行政などを通じて事業者に改善を求めることができます。
ここでの聞き取りなどで、正しく報告しなかったり、うその報告をしたりした場合、罰金になることもあります。
大切なのは、まずは、いろんな事業者さんに、障害者差別解消法あるいは合理的配慮を広く知っていただきたいと思います。
そのことによって社会全体が誰にとっても住みやすい社会になっていってほしいと思うのです。来月号もこの関連記事を書いてみたいと思っています。
(事務局長 小林誠)
山視協だより 令和6年4月号
発行人 一般社団法人山梨県視覚障がい者福祉協会
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山梨県福祉プラザ1階
発行責任者 会長 埜村 和美
編集責任者 事務局長 小林 誠
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