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山視協だより  令和5年9月号


第117号 令和5年9月15日発行
一般社団法人山梨県視覚障がい者福祉協会会報

目次
巻頭言
眼球使用困難症候群について・・・・・2
行事報告
第2回役員会報告・・・・・3
福祉部講演会の報告・・・・・6
今後の予定
第2回環境調査についてのお知らせ・・・・・7
文化祭開催と作品募集のお知らせ・・・・・8
クラブ活動報告
パソコンITクラブ・・・・・8
事務局からのお知らせ
三団体合同レクレーション祭について・・・・・9
「富士急ハイランド障がい者園内体験」参加者募集・・・・・9
編集後記・・・・・10

「山視協だより」は赤い羽根共同募金の配分金により作成されています。

巻頭言

眼球使用困難症候群について


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会長 埜村和美

 「眼球使用困難症候群」とは眼球は正常な状態であるのに、まぶしさや痛みなどで見えない症状を言います。これは視機能は正常であっても、脳の誤作動によるものではないかと、一部の眼科医の間で診断されるようになりました。
ある患者さんは窓にはカーテンを引き、窓との隙間は粘着テープで塞いで光を極力入れず、暗室の中でアイマスク生活を余儀なくされています。外出の際には周囲の明るさを100分の1に抑制する特殊サングラスをかけ、白状歩行をしているとのことです。症状はこの他に、まぶたの開閉が困難であったり、字が動いて見えたり、目を使った後は疲れのため何日も寝込んでしまうなど、症状は様々です。医師の間でも理解が広がっていないため、発症から診断までに時間がかかることが課題の一つだそうです。
またある患者さんが居住する自治体に障がい認定を要求したところ、視力障がいの認定は視力と視野で判断されるため、脳が原因となる病気は適用外となり、却下されたそうです。そのため歩行訓練などのリハビリにもお金がかかってしまい、日常生活や就労にはほど遠いのが現状です。
厚生労働省でも、ようやく2020年から実態調査に取り組むようになり、また自治体が独自に障がいと認定したという事例も出始めたと聞きます。この症候群を持つ患者は、全国に30万〜50万人いると推定されていますが、原因が脳の誤作動とされているため周囲から理解されにくく、医療や福祉の谷間に置かれています。
身体障害者福祉法は1949年(昭和24年)にできた法律で、視覚障がい者の認定はこれによっておこなわれます。今日まで何度か改正はされてきましたが、視力と視野によってしか視覚障がいと認定されないという基本は変わらず、救済されるべき人が救済されないのは不合理なことだと思います。今年度の第76回日視連全国大会の生活分科会でも、埼玉県と奈良県からこの症候群に対する障がい者認定が要望されていました。
2022年度には『見えづらさを来す様々な疾患の障害認定・支援の方法等の確立に向けた研究』というタイトルの研究会が組織されました。これは障がい認定に必要な客観的な基準を見つける研究会で、眼科と神経眼科、神経内科、精神神経科、社会学の専門家がチームを組み、広域的な研究班で取り組もうとするものです。日本の場合は病名がないとなかなか支援につながらない傾向があるので、まず診断基準を見つけるために医学的に研究を進めようということです。その上で支援方法や重症度の分類基準の設定への方向が見つかるはずだというものです。視覚障がいにも様々な苦しみがあり、行き届かない福祉の現状のあることを知りました。日視連でもこの症候群への理解が進み、医療と福祉が合体するよう運動していく必要を思いました。

行事報告

第2回役員会報告


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事務局長 小林誠

第2回役員会が、8月20日地域づくり交流センターを会場にハイブリッド形式で行われました。埜村会長のあいさつに続き、事務局から5月から当日までの経過報告があり、承認されました。
その後各専門部から事業実施報告と今後の事業予定が報告されました。福祉部から4年ぶりに開催される「寿の集い」に多くの会員にも参加を求めていきたい。更に11月に実施を計画している環境調査にも福祉部以外の会員にも参加していただきたいので詳細内容を「山視協だより」に掲載していくとの報告がありました。
続いて、体育文化部から9月10日に予定している研修旅行について参加状況が報告され、予定人数に対し、若干不足しているが実施すべきか決めかねている。これに対しての意見として、募集をさらに努力したうえで本会の経済的負担が増えても実施すべきではないかとの意見で合意しました。
次に、毎年11月に予定している「点字競技会と文化祭」の二つの事業を文化祭に一本化してその中に点字に関するコーナーをつくるのはいかがでしょうかとの提案に対し、役員会としては、点字文化を残すならよいのではないかとの合意を得て今年度より実施していくことになりました。
就労生活部からは、8月9日に行う予定だった「無資格者撲滅キャンペーン」の甲府駅前のチラシ配布を中止し、本会役員に20枚づつ一部の変更を加えたキャンペーンチラシを送付するので、患者さんや知り合いに配布していただきたいとの要望がありました。今後の予定としては、11月19日の「県民の日ふれあいマーケット」に参加する予定だが、今年度は、本会会員からも施術奉仕者を募ってみたい。詳細については、12月の研修会内容についても合わせて「山視協だより」をご覧くださいとのことでした。
3番目の議題では、定款の一部見直しについて議論しています。そのきっかけとなったのは、今年の総会において承認された新理事の登記についてです。本会の定款では、書類には本人が署名しなければなりません。視覚障がいを持つ者にとって自書での署名は非常に困難をきたします。そこで、10年前に作成した定款の一部を次年度の総会で見直すこととなり、検討委員会でその準備を進めることになりました。
次に埜村会長から提案された2年後の山梨を含めた関東ブロックで引き受ける順番になっている日視連全国大会の件です。関東地区のどこかが主催することになります。12月に開かれる関ブロ委員会までに各団体の意見を取りまとめておいてほしいとのことでした。役員からは、山梨の今の現状では無理ではないかというのが多くの意見でした。12月の関ブロ委員会までにその不可能な根拠となる理由を示す必要があるとの意見でまとまりました。
次の議題では、会員名簿について取り上げています。会員名簿は、ここ10年ほど作られていません。この間には、亡くなられた方や高齢で退会を余儀なくされた方が多くいらっしゃいますのでこのあたりで新しく会員名簿を作成したらどうかという意見がありました。これに対し、昨今のプライバシー保護の観点からどこまで表記し、配布したらよいのか検討する必要があるとの意見があり、慎重に判断していくこととなりました。
最後に、会員名簿に関連して賛助会員の取り扱いについても見直す必要があるのか、定款の変更も含めて検討していくこととなりました。
その他では、山障協機関紙「共生」に付けられている「SPコード」を「ユニボイスコード」にしてほしいとの要望があり、山障協に要望していくこととなりました。
以上が役員会報告となります。

福祉部講演会の報告


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福祉部部長 角田政樹

 皆さん、こんにちは。去る8月20日(日)に、福祉部講演会「あしらせ体験会」が開催されました。このあしらせを作っているのは株式会社あしらせですが、この会社は、もともとホンダで車の研究をなさっていた方が、「人間は歩くだけでも事故に遭ってしまう。ただ歩いているだけなのに命を落としてしまうなんて。それはどういうことなんだろう。車はどんどん安全になっているのに。なぜ人間の歩行は安全にならないのだろう。」「この歩くと言うことをテクノロジー、もっといろんな技術で豊かなものにしよう。」と思い、その活動を株式会社化したものです。
歩くことに一番困っているのは視覚障がい者です。この目の不自由な方に、安全に、そしてスムーズに歩いていただきたい。これがコンセプトです。つまり、このあしらせは、歩行者の中でも私たち視覚障がい者に特化して作られたものなのです。
最初は、何もない道路でも仮想的に点字ブロックを作り出し、その点字ブロックからの足への反応により歩行をしていただく、と考えたのですが、これはさすがに難しかったとのことです。そこで生まれたのがセンサーを使って歩くことをナビゲートすると言うものです。日常の動線の中で、外出する際には必ず身に付ける靴に装具を装着し、感覚が敏感な足に様々なパターンの振動を送り、状況を知らせます。振動する部分は、我々が路面を感知するのに重要な足底は避け、足の甲、側面、踵の3点です。両足計6点への振動により、自分の向いている方向や、進むこと・曲がることや、目的地までの距離(近い、遠いといった大体のもの)をナビゲートするものです。目的地までの道順はこの振動により把握できるため、白杖や耳から得られる周囲の状況に集中することができ、より安全に歩行ができるのです。
私達視覚障がい者にとってはなかなか有益なものだと感じました。この機器は、アプリとデバイスの2つからなります。アプリと言えば当然スマホが必要になってきますが、山視協の活動方針にも、ITの有効活用をサポートする旨があり、そのためにITサポート委員会なるものもあります。そちらも上手に活用していただければ、皆様の生活で不便に感じていることがまた少し軽減されるのではないでしょうか。そんなことも感じた今回の講演会でした。

今後の予定

第2回環境調査についてのお知らせ


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福祉部部長 角田政樹

 皆さん、こんにちは。福祉部です。
11月に実施予定の第2回環境調査についてのお知らせです。
7月に実施した第1回環境調査は暑い最中と言うこともあり、屋内で実施できるセルフレジなど生活バリアについて調査しましたので、今回の第2回環境調査は、主に交通バリアの調査を実施したいと思います。
交通バリアに関しては、既に各支部から県警に提出する要望はいただいている状況(県警へは要望済み)ですが、改めてここを調査してほしい、新たにここを調査してほしいと言う箇所があれば、是非、教えていただきたいと思います。そして、出来れば一緒に調査をしたいと思います。どうぞ皆様、連絡をお待ちしております。
連絡先 090-1848-7091(角田) 締切は9月30日です。

第55回県下視覚障がい者文化祭開催のお知らせ


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部長 角田貴弘

今年度も文化祭を次の通り開催いたします。今回は久しぶりの一日開催となります。多くの皆様の参加をお待ちしております。
なお、今回から点字競技会に代わり、新しい試みとして多くの会員の皆様にも点字の世界を深めて貰いたく「点字の世界を広げよう」と題し開催いたします。

日時 11月11日(土)10時〜15時30分(受付9時30分)
場所 山梨県福祉プラザ 4F大ホール
バスは甲府駅北口バス乗り場1番線から乗車・山梨県福祉プラザバス停で下車して下さい。
内容
1 点字の世界を広げよう
2 文芸選評(短歌・俳句・川柳)
3 文化講演会(ハイブリッド形式)
講師等の詳細は10月号に掲載します。なお、昼食はこちらで用意いたします。 
文芸作品を募集します。短歌・俳句・川柳の作品をお送りください。
送り先 事務局・小林(055-252-0100)締切は10月10日(火)です。

クラブ活動報告

パソコンITクラブ


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部長 小林誠

パソコンITクラブは、去る7月30日、3年半ぶりに対面部会を開くことができました。思い返してみると2020年1月にビンゴゲームを楽しんだ新年会以来ですからそれはそれは久しぶり。何人来てくれるのかなと不安でしたが、なんと10人を超える部員が猛暑の中来てくれて涙・涙。
部員の方に話を聞いてみるとこの3年半のブランクに大きく変化したのが愛用している機器がパソコンからスマートフォンに変わったことだそうです。当日もスマホに関する質問がほとんどでした。社会全体がスマホありきの世の中になってきているので、自然な流れなのかもしれません。
今後、パソコンITクラブも世の中の流れに乗り遅れないようアンテナをしっかり伸ばして活動を続けていきますので、まだ会員でない方は入会を検討してみてください。
なお、次回の部会は、9月17日(日)午後1時から地域づくり交流センター1F第1会議室となっています。IT関連に関する質問や疑問のある方は、遠慮なくお越しください。部員一同お待ちしています。

事務局からのお知らせ

三団体合同レクレーション祭について


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今年度の「三団体合同レクレーション祭」は中止です。

「富士急ハイランド障がい者園内体験」参加者募集


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1 目的
様々な障害を持った者が、富士急ハイランドを訪れ、入園手続き、移動、レストラン、売店、トイレ、遊具などを実際に体験し、その感想や意見を伝えることにより、富士急ハイランドをより利用しやすい空間とするとともに、職員の方に障害への理解を深めていただくことを目的とします。
2 実施の概要
障害当事者1〜4人 家族や介助者等同伴者を含め概ね10人位までのグループにより、入園手続き、移動、レストラン、売店、トイレ、遊具などを実際に体験し、感想等を懇談会の中で、園側に伝えていただく。
3 費用負担:富士急ハイランドで負担する費用
・チケット代(障がい当事者及び付添1名まではハンディキャップ割引を適用)
・食事及び売店 一人当たり上限 3,000 円 税込
・駐車場 当日料金
4 実施時期:9月〜12月(各月1グループ程度)

5 当日の流れ: 
@ 第一駐車場集合(集合時間は参加者が事前に決定)
A 園内体験の主旨及びフィードバックを受けたい事項等の説明
B 園内体験(チケット購入、アトラクション乗車、食事、売店使用など)退園、駐車場精算
C 事務所等へ移動、懇談会実施(富士急ハイランドスタッフ4名参加)
※懇談会は30分から60分程度を予定
※実施日は、参加者が指定された月の中で自由に設定。(候補日を3日程度選定)
6 問い合わせ・申し込み 電話055-252-0100(事務局 小林)

編集後記


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 本会は、今年度もJR東日本に対し、私たちにとってより使いやすく安全な鉄道利用ができるよう要望をする予定ですが、無人駅についてちょっと調べてみましたのでお伝えします。
2019年の国土交通省の調査によると、全国の無人駅の割合は、55.3%だそうです。無人駅の割合が多いバッド3は、第3位 長崎県 79.6%、第2位 徳島県 81.6%、そして第1位は、高知県 93.5%となっています。逆に無人駅の割合が少ない都道府県順位は、第3位は東京都 9.9% 第2位は埼玉県 3%、そして第1位は沖縄県 0%。沖縄県については、鉄道駅が存在しないため対象外ですが、都道府県順位というくくりなのでこのような結果となります。
さて、本県の無人駅割合は何位かといいますと第28位で54.8%、隣の長野県は第29位で57.8%、静岡県は第24位で47.8%という結果になりました。
このデータは、4年前のものなので、現在は無人駅が一段と増加していることは明らかだろうと思われます。そんな中、大分県のある無人駅で、ある体験会が行われました。
以下、ニュースから
視覚障害者を対象に、JR九州が無人化した大分市内の駅で新たに導入した遠隔案内サービスの体験会を実施しました。JR九州は7月から大分市内4つの駅を無人化し、新たに遠隔で乗客に対応するサービス「スマートサポートステーション」を導入しています。無人化した駅を安心して利用できるよう大分支社は27日、JR高城駅に視覚障害者を招いてサービスの体験会を実施しました。参加者は遠隔で係員が対応するモニター付きの精算機やトラブルの際オペレーターと話せるインターホンを実際に体験しました。ある視覚障害者は、「きょうはいい体験になった」「本当は駅員の方がいて対応して頂くのが私らには1番良いが、慣れていくのもこれからのやり方だと思う」このサービスは中判田駅や鶴崎駅など10か所で導入されていて、JRでは今後も体験会を実施することにしています。
当然ですが、無人駅は利用者も少なく、私たちには大変不安です。ぜひともこのようなシステムが全国展開に発展して視覚障がい者の利用頻度の高い駅から導入してほしいと感じました。

(事務局長 小林誠)

     山視協だより  令和5年9月号
発行人 一般社団法人山梨県視覚障がい者福祉協会
〒400−0005 山梨県甲府市北新1−2−12 山梨県福祉プラザ1階 
      発行責任者  会長   埜村 和美
      編集責任者  事務局長 小林 誠
       電話 055−252−0100
       FAX 055−251−3344
       http://yamashikyo.sakura.ne.jp      


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