第139号 令和7年7月15日発行
一般社団法人山梨県視覚障がい者福祉協会会報
巻頭言 | |
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山梨県障がい者福祉にかかる施策要望の追加事項について | ・・・・・2 |
行事報告 | 第78回全国視覚障害者福祉大会(千葉大会)団体提出議案に関する分科会報告 |
(1)生活分科会報告 | ・・・・・3 |
(2)バリアフリー分科会報告 | ・・・・・5 |
(3)職業分科会報告 | ・・・・・6 |
今後の予定 | |
ビジョンサロン開催のお知らせ | ・・・・・7 |
寿の集い開催のお知らせ | ・・・・・7 |
第57回県下視覚障がい者文化祭日程のお知らせ | ・・・・・8 |
本会創立70周年記念大会開催のお知らせ | ・・・・・9 |
クラブだより | |
グランドソフトボールクラブ | ・・・・・9 |
事務局よりお知らせ | |
令和7年度厚生労働大臣免許保有証の交付申請について | ・・・・・10 |
第47回全国視覚障がい者将棋大会開催のお知らせ | ・・・・・10 |
事務局への連絡について | ・・・・・11 |
訃報 | ・・・・・11 |
編集後記 | ・・・・・13 |
「山視協だより」は赤い羽根共同募金の配分金により作成されています。
会長 小林誠
令和7年も半分が過ぎ、時の流れの速さに驚くばかりです。そして、この猛暑、皆さんいかがお過ごしですか。昨日、6月の平均気温が平年より2.34度高く、これまでの記録を更新したと報道されていました。皆様、水分とミネラルもこまめに摂取してご自愛ください。
さて、6月27日に令和8年度の山梨県障がい者福祉にかかる施策要望を山障協に提出いたしました。これまでの内容を一部修正し、次の要望事項を書き加えましたので報告いたします。
●災害時における視覚障がい者への情報伝達について
2011年の東日本大震災における障がい者の死亡率は、住民全体の死亡率の約2倍と言われている。自力で避難することが難しく、逃げ遅れたことが主な原因と見られる。
災害対策基本法の基本理念には、防災計画を作成する際、被害の最小化及び迅速な回復を図る時は、高齢者、障がい者、乳幼児、その他の特に配慮を必要とする者、いわゆる災害弱者の事情を踏まえ、適切・必要な措置を講じるという考えが貫かれている。また水防法では、浸水想定区域がある市区町村の長は、国土交通省令で定めるところにより、住民や滞在者に周知するためハザードマップ等を配布するなど必要な措置を講じなければならないとあり、都道府県は区域における水防管理団体が行う水防が十分に行われるように確保すべき責任を有するとある。
従って、自助が困難な視覚障がい者に対して、ハザードマップ等の災害対策情報を伝える仕組みを整えていくことは、県として果たすべき大事な役割と考えられる。そうした中、青森県、秋田県、東京都、千葉県、富山県、石川県、三重県、鳥取県、熊本県や全国の政令市等で近年、広がりを見せているのが「耳で聴くハザードマップ」の導入である。これは、音声で災害リスク等の情報を聴くことができるもので、アプリには、視覚障がい者に不可欠な読み上げ機能はもちろん、洪水ハザードリスク情報を音声で提供したり、GPS機能を活用し、現在地から最寄りの避難場所へのルートについて音声と方向を示す効果音で誘導する機能などが備わっている。
2022年5月施行の障害者情報アクセシビリティ・コミュニケーション施策推進法では、障がい者が障がい者でないものと同一内容の情報を同一時点において取得できるようにすることが基本理念に示されている。また、2024年4月に改正された「改正障害者差別解消法」の趣旨に照らしても、健常者との情報格差解消に向けた防災減災対策の推進は本県としても極めて喫緊の課題であると思われる。
「耳で聴くハザードマップ」は、県が導入すればすべての市町村が利用でき、導入後は県から全市町村に周知を行い、市町村において視覚障がい者がもれなく利用できるような告知や案内がなされれば、私たち視覚障がい者にとってこれほど心強いものはない。南海トラフ地震や線状降水帯の危険性が身近に迫る中、一刻も早い対応を要望する。
副会長 名取利一
座長に日視連の米島芳文氏、千葉県視覚障害者福祉協会の須合俊子氏、助言者は日視連の副会長である片岡美佐子氏によって、生活分科会が行われました。
議題としては、日常生活用具関連、同行援護関連、障がい福祉サービス関連、ほか含め、44議案が各団体より提案され審議が行われました。
まず日常生活用具に関した主な議案としては、物価高騰により基準額と実際の商品価格とに大きな差が出ているため、基準額の見直しを求めること(9団体)、また、現在の福祉機器の耐用年数では福祉制度が利用できない状況である。よって、福祉用具等の耐用年数の見直しに関しても、国からの通達等で各自治体に働き掛けるようにすること(2団体)など、山梨でも議題の一つとして出された議案が取り上げられていました。
同行援護関連の主な議題では、公共交通機関の利用が不便な地域において、同行援護従事者の車で移動している場合であっても、移動・待機時間を報酬算定の対象に加えること(9団体)、同行援護従事者の安定した人材を確保するため、同行援護の基本報酬の介護給付費単位数を引き上げること(山梨を含めた4団体)など、同行援護従事者の人手不足に関する議題が出ていました。
障がい者福祉サービス全般では、自治体から発出される通知等については、点字表示や拡大文字・音声コードの添付等、視覚障がい者が識別しやすい対応を行なうよう、国から各自治体へ通達等により働きかけること(1団体)、地域生活支援事業の国庫補助金の配分金の仕組みを改め、視覚障がい者にとって必要な地域のニーズに応じて確実に実施できる制度にすること(1団体)。
災害・防災に関した議案では、自然災害に備え、障がい者への個別避難計画の義務化と、福祉避難所の整備・拡充を図ること(3団体)、耳で聴くハザードマップは、視覚障がい者の防災に非常に重要なツールになるので、全自治体で導入を進めること(1団体)。
その他、障害者虐待防止法、合理的配慮等に関係する要望などが議案として出され、審議の結果、すべて承認されました。
最後に、災害発生時の対応として、「要支援者登録制度」という制度があるが、この制度が始まって10年以上経過しており、登録された対象者に対し、登録後の現況について、何の調査もなされていないということが判明したという報告がありました。要支援者登録は受理されていると言えど、現在の状況が大きく変わっている者もいるのではないか、安否確認と言う観点からも、各地行政機関に対し、再確認をするように要求しても良いのではないかと言うアドバイスがありました。
会長 小林誠
バリアフリー分科会は、日視連理事 鈴木孝幸氏、千葉県視覚障害者福祉協会会長 今野正隆氏を座長に各団体から53名が出席し、助言者に日視連副会長 吉松政春氏を迎え、10項目45の議題について審議しました。
鉄道関連では、無人駅が増加している中、これまで以上に安全性に努め、万が一の際につながるシステムを設置してほしいなどの議題が承認されました。
障がい者割引関連が5題あり、特急券、飛行機など今以上の割引を求めてゆくことで承認されています。
踏切道路関連の安全対策項目は9題あり、歩車分離式交差点においては、音響式信号機を必ず設置してほしい。歩きスマホは危険であることをもっとアピールすることなど原案通りに承認されています。
自動車等の安全対策については3題あり、電動車両すべてに対し、接近音の装置を義務付けること、歩道安全のルールを強化してほしいなどが採択されました。
施設全般のバリアフリー項目では、トイレの構造は、音声案内に加え、JIS規格に統一してほしいなどが承認されました。
情報保障項目については7項目あり、放送バリアフリーに関しては、より一層の音声化と弱視にも配慮した放送を強く要望していく。また更なるWebアクセシビリティーの拡充を進めるよう運動していくことなどが採択されました。
最後に各機器のアクセシビリティーの項目については、タッチパネルの音声化を要望し、それが実現するまでは、人的配慮を要望する。
これら45の提出議題がすべて採択されたことを報告します。
副会長 小笠原恭子
座長は日視連理事 及川清隆氏と千葉県視覚障害者福祉協会 副会長 仲野明治氏、助言者に日視連副会長橋井正喜氏を迎え、各団体代表38名が出席し開催されました。
山梨県からは「視覚障がいあはき師が安定的に生活できるよう自治体及び民間企業においてヘルスキーパーを積極的に雇用すること」という議題を提出し、千葉県と岡山県からも同じ議題が提出されていました。千葉県の代表者から医療機関でマッサージ師が雇用される事例が激減しており、安定的な雇用先として行政機関や大企業などでヘルスキーパーとして積極的に採用されるように強力に進めていただきたいという補足説明があり、満場一致で承認されました。
その他あはきの内容として、無資格者対策、受領委任払い(医療保険を使った治療)を取り扱う視覚障がい者が不利益にならないような対策、アハキの国家試験のパソコン受験を認めてほしいなど10題、視覚障がい者の職域拡大と雇用の安定について、職場介助者・通勤支援の制度の充実、就労支援特別事業と地域生活支援事業を地域差なく利用できるよう求める内容11題、合計21題全てが承認されました。
吉村圭子
山視協では、偶数月の第2土曜日にビジョンサロンを開催しています。ビジョンサロンは「見えない」「見えにくい」といった視力に支障があって、不自由さや困難さを感じている人を対象に、情報交換や交流を目的としたサークルです。
6月開催時は市の避難行動支援登録に関して、「みんなはどうしてる?」に回答や意見、各市の状況などの話で盛り上がりました。
次回開催は8月9日(土)。「山視協だより」にもついているユニボイスコードを実際に使ってみる、聞いてみるコーナーも予定しています。ぜひお立ち寄りください。
参加無料、予約不要、出入り自由!
福祉部部長 角田政樹
皆さん、こんにちは。福祉部です。
4月の定期総会にて議題にも挙げられていた「山視協の危機的財政状況」を鑑み、今年度の「寿の集い」は、内容を大幅にリニューアルして開催いたします。
今年は、いつものように温泉宿ではなく、防災新館1階のオープンスクエアにて、ゆっくりとおしゃべりしながら食事をし、その後は講談を楽しむ、といった感じです。
食事は、甲府市中央で営業している「のほのほ」さんにお願いします。この「のほのほ」さんは、店舗での営業以外にも、様々な施設やイベントにお弁当を提供しており、テイクアウト商品にも明るく、また昨年の全国コンテストでは農林水産大臣賞を受賞しました。こちらの幕の内弁当(お茶付き)を楽しむ予定です。
食後の講談は、上方の講談師 旭道南文字(きょくどうなもんじ)先生に2席打っていただく予定です。この南文字先生は、古典の講談を聞いた際に湧き上がるノスタルジアが右脳に与える影響はいかほどか、認知症予防にもなり得るのではないだろうか、といったことを考えている面白い先生です。
先月号でお知らせした二枚目(真打の次)への昇段のかかった講演は12月に延期になったようですが、現在、先生は青森や秋田、東京で精力的に活動されています。
いかがですか。長寿会の先輩方と一緒に、食事と講談を楽しみませんか。
体育文化部部長 角田貴弘
皆さま暑い日が続いておりますがいかがお過ごしでしょうか?文化祭の日程をお知らせします。なお、詳細は8月号にてお知らせします。
会長 小林誠
いよいよ11月9日の創立70周年記念大会が、4か月後に迫ってまいりました。
大まかな日程は次のようになっています。
より詳しい内容につきましては、後日連絡いたします。
本会の更なる発展のため、一人でも多くの参加をお待ちしています。
部長 大野静香
6月8・9日に東京都武蔵野総合運動公園にて、関東地区予選大会が行われました。一回戦で群馬県チームと対戦、幸先よく先制したものの、最後は3対4×のサヨナラ負けとなってしまいました。チームの調子も雰囲気も悪くはなかったのですが、試合の流れの怖さを痛感いたしました。次の日に行われた神奈川県チームとの交流戦では、5月に加入した若手選手や晴眼スタッフも出場し、チーム一丸となってグラソフを楽しみました。20年近く同じ顔触れのチームに、3年前に加入したオールドルーキーや若手選手の存在は、新たな風をもたらし、一生懸命前向きに、楽しそうにグラソフをしている姿は、メンバーの刺激となっています。青年会議所を中心とした晴眼スタッフは、大会前に必ず、実践に近い形での練習もしくは練習試合をサポートしてくれています。4月の東日本大会では優勝をしており、まだまだ戦えるチーム山梨であります。引き続き、メンバー募集とともに、応援よろしくお願いいたします。
あはき免許保持者が厚生労働大臣免許保有証を所持することは、視覚障がいあはき師の生業を脅かす無免許者の横行を抑える効果があります。
申請受付期間は8月31日(日)までです。申請手数料は4,000円で、会員の場合は2,000円が補助されます。
交付申請または更新(保有証の有効期限が令和8年3月31日以前の方)をご希望の方は事務局までお申し出ください。
事務局へのご連絡やお申し込み、お問い合わせは山視協事務局メール、あるいは支部長や役員までお願いします。
山視協事務局メールアドレス:jimukyoku@yamashikyo.sakura.ne.j
なお、事務局のメールアドレスの末尾は「p」が外してあります。お使いの際には「p」を付けてお使いください。
先月号に引き続き、第78回全国視覚障害者福祉大会(千葉大会)の報告を掲載しました。ここではその大会式典でのお話です。
2日目の式典の司会者、音訳ボランティアの方かな?と思っていたら、自己紹介を聞いてびっくり、私の大学時代のクラスメイトでした。アナウンス技術が高くて驚いたのはもちろんですが、弱視だった彼女が全盲になったと聞いていたのに、すらすら完璧な司会っぷりなのです。休憩時間に会いに行き、聞いてみたら「見えてないわよ。頑張って練習したのよ。」というのです。原稿を見ながらだとしても素晴らしい司会なのに、覚えてとは信じられません。分科会での発言も録音を聞かせてもらったら、これまた的確で完璧なものでした。
学生時代は当事者団体の活動に参加するタイプではなかったし、まさか彼女がそこにいることすら想像できませんでした。卒業以来30年ぶりの再会、その間の彼女の成長と変身にあっぱれ。私もおちおちしていられないと刺激を受けた大会でした。
ぜひYouTubeで視聴してみてください。(日視連 千葉大会で検索できました。)または次のリンク先よりどうぞ
ユーチューブ配信はこちらから
(事務局長 小笠原恭子)
山視協だより 令和7年7月号
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山梨県福祉プラザ1階
発行責任者 会長 小林 誠
編集責任者 事務局長 小笠原恭子
電話 055−252−0100
FAX 055−251−3344
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